研究課題/領域番号 |
12045264
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構, 総合バイオサイエンスセンター, 教授 (40029955)
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研究分担者 |
水谷 泰久 神戸大学, 分子フォトサイエンスセンター, 助教授 (60270469)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 時間分解共鳴ラマン / ミオグロビン / 蛋白質高速ダイナミクス / 蛋白質3次構造変化 / 光解離 / アミロイド / Ultraviolet Resonance Raman |
研究概要 |
蛋白質の特色は、それが柔い構造体であって、その立体構造を変えながら機能を遂行するところにある。したがってダイナミカルな構造を論じる実験データが蛋白質機能を論じるうえで必須である。「一体蛋白質はどれ程大きな構造変化をどの程度の速さで起こし、それがどのように高次構造変化につながるのか?」この問いに答えるのが本研究である。実験法としては、光感受性蛋白の光反応開始の時を時刻ゼロとし、その分子振動の振動数を時間の関数として観測する。観測法として共鳴ラマン分光法を採用した。その理由は、水溶液の測定に適しているだけでなく、(1)共鳴効果と(2)高い時間分解能の2つの利点を生かせるからである。(1)はラマン散乱の励起波長を分子の吸収帯に近づけると、その吸収帯を与える発色団の分子振動の一部が強いラマン線を与える現象の事である。共鳴条件下では試料の濃度を下げる事ができ、また励起波長を変える事によって発色団を選択して観測する事が可能になる。本研究に用いたミオグロビン(Mb)の場合、可視レーザーを用いると色中心のヘムの分子振動が見え、紫外レーザー光を用いるとグロビンの分子振動が見える。(2)はレーザー光源のパルス性を利用し、レーザー光のパルス幅が2.4ピコ秒であったので、ピコ秒の時間刻みで構造変化を追跡した。 CO結合型Mbに可視パルス光を照射すると100フェムト秒内にFe-CO結合は切れ、Feの低スピンから高スピンへの変化は2.4ピコ秒内に起こった。それに伴う:Feイオンの面外変位はFe-His伸縮ラマンバンドの強度変化として表れ、-20ピコ秒で起こった。グロビンの構造変化は104ピコ秒の時定数で起こり、その時定数は溶媒の粘度が高くなると長くなった。244nm励起の紫外共鳴ラマンの実験からチロシン151とトリプトファン7がCO脱離により構造変化する事が明らかになった。このようなリガンド脱着による蛋白構造変化はセンサー蛋白の機能発現に必須であり、その方向に研究を進めていく予定である。
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