研究課題/領域番号 |
12046101
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康夫 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00013483)
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研究分担者 |
廣田 和馬 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90272012)
VENKATESWARA Rao C. R. 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10323099)
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90323097)
松田 雅昌 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 研究員 (90260190)
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キーワード | スピングラス / LSCO / 中性子散乱 / 高温超伝導 / スピンダイナミクス |
研究概要 |
平成12年度の、限られた時限の間に挙げた成果は次のようなものである。 高温超伝導を示す物質の代表である銅酸化物の一つである、LSCOのホール濃度が極端に薄い領域では絶縁相であることが知られている。然し乍ら、既に高温超伝導発現に必須のスピンと電荷との分離が起こっていると言う実験的に確かな証拠が初めて、中性子散乱実験に寄って明らかにされた。 ホールの濃度が約1%と想われるSr 1%置換したLSCO単結晶を育成して低エネルギー、高分解能による中性子散乱実験を行った所、約10K以下の低温で格子の周期性とは非共軛の磁気的な長周期構造が実現していることを発見した。このような非常に薄いホール濃度でスピンの長周期構造が実現することは単なる磁気的な相互作用では全く説明が困難である。このような構造の実現が困難であると想像されるので、この原因は長距離相互作用が働く電荷の働きに依るとしか考えられない。つまり、電荷が平均的に分布するのでは無く、電荷の濃淡が結晶中で周期的に起こっていると解釈されるのが自然である。此の時、電荷が濃い領域ではスピンが無い(singlet pair)という実験結果を与えているので、敢えてスピン・電荷分離という表現が使われている。このような状態が最終的に金属相で超伝導発現の起源となっているならば非常に重要な発見であろう。 この成果は、先頃開催されたアメリカ物理学会(Seattle,American Physical Society,March Meeting)を始め、数々の国際的な研究会や学会等で招待講演になり、注目されている。
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