永年の課題であったスピネル型イリジウム新硫化物CuIr_2S_4の単結晶をフラックス法により育成することに成功した。約1mm角の大きさの金属光沢のある8面体をした美しい単結晶が得られた。本研究費の支援により、電気炉の制御をより高精度化することができた。薬品、石英管、液体窒素、液体ヘリウム並びに耐熱部品等の消耗品の購入により、継続的に単結晶育成および低温物性測定に取り組むことができた。我々の育成した単結晶を用いて精密な結晶構造解析、光電子分光等の実験、ラマン散乱の実験が実施されている。低温相の絶縁体状態での局在磁気モーメントが存在しないことの物理的な解明に向け種々の研究が展開されている。単結晶の育成方法に関する論文を発表した。さらに、共同研究の成果としてCuIr_2S_4とCuIr_2Se_4の熱電能および電気抵抗率の測定を900Kの高温まで行い、解析した結果を論文として報告することができた。
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