研究課題/領域番号 |
12046219
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀧川 仁 東京大学, 物性研究所, 教授 (10179575)
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研究分担者 |
藤原 直樹 東京大学, 物性研究所, 助手 (60272530)
竹下 直 東京大学, 物性研究所, 助手 (60292760)
毛利 信男 東京大学, 物性研究所, 教授 (40000848)
樹神 克明 東京大学, 物性研究所, 助手 (10313115)
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キーワード | 極限環境 / 量子相転移 / 磁気励起 / 高圧 / 強磁場 / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
1)ダイマー1重項が厳密な基底状態であるというユニークな性質を持つ2次元スピンギャップ系SrCu_2(BO_3)_2において、^<11>B核のNMR測定を行なった。特にグルノーブル強磁場実験施設との共同研究で、飽和磁化の1/8において磁化過程のプラトーが生じる28テスラまでの磁場中での核スピン格子緩和率、スピンエコー減衰率を測定した。スピン格子緩和率の温度依存性はピークを示し、またスピンエコー減衰率は温度低下と共に単調に増大した。これらの結果は、磁場によって誘起された磁化が温度の低下とともに局在化することによる考えられる。2)PrBa_2Cu_4O_8はイットリウム系高温超電導体においてYをPrでおきかえた化合物であるが、この物質の電気伝導は1次元的なジグザグ鎖によって担われている。鎖内の銅原子核のスピン格子緩和率、スピンエコー減衰率を核4重極共鳴(NQR)を用いて測定したところ、両者共に電場勾配の揺らぎに起因する巨大なピークが観測された。ピークの生じる温度が両者で異なることから、電荷の揺らぎが徐々に遅くなり一部の電荷が凍結していることが結論された。この物質は1/4バンドが詰まった系に特有の電荷秩序相に非常に近いところに位置していることが示唆される。3)太古から人類に知られている磁性体であるマグネタイトが示す金属絶縁体転移(Verwey転移)は長い間電荷の秩序化によると考えられてきたが、最近それに反する実験が報告されている。本研究ではマグネタイトに均一な圧力をかけると、絶縁体への転移が抑えられ、8Gpa以上の圧力では低温まで完全に金属的な伝導を示すことが始めて観測された。
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