研究課題/領域番号 |
12046226
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50114351)
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研究分担者 |
有田 亮太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手
黒木 和彦 電気通信大学, 量子・物質工学科, 助教授 (10242091)
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キーワード | 超伝導 / 多軌道 / 多バンド / トリプレットペアリング / フェルミ面 |
研究概要 |
近年、多軌道・多バンド系における強相関電子系に対する関心が高まっているが、特に超伝導では、酸化物Sr_2RuO_4などの多バンド系においてスピン・トリプレット超伝導の可能性が指摘されて注目されている。そこで、本課題では多バンド系におけるスピン揺らぎを媒介とする異方的超伝導(特にトリプレット超伝導)の可能性を解析的に調べることを目的とした。また、酸化物ではないが、やはりトリプレット超伝導の可能性が指摘されている有機超伝導体(TMTSF)_2Xとも比較した。 問題意識として、揺らぎ交換(FLEX)近似という解析的手法では、トリプレット超伝導は一般には極めて実現しにくいのに、何故、Sr_2RuO_4やTMTSFでは実現しているのか、という理論的謎がある。本年度は、FLEXを用いて、(1)両者の物質において擬1次元的フェルミ面とスピン異方性のために、揺らぎ媒介トリプレット超伝導が起きること、(2)しかし、Sr_2RuO_4においては、p波ペアリングが、2バンド系として起きており時間反転対称を破っているのに対し、TMTSFでは電荷揺らぎも利用したf波ペアリングが1バンド系として起きている、という違いがあることを示した。
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