研究概要 |
レーザーMBE法を用いて高品質なマンガン酸化物の超格子薄膜の作製を実現してきた[M.Izumi et all.,Phys.Rev.B61,12817(2000)]。そのレーザーMBE法のなかで重要な要素技術の一つである基板加熱の方法に赤外レーザーによる加熱を採用し、1000℃を超える基板温度を可能にした[M.Lippmaa et al.,Physica C335,196(2000)]。その技術を利用することによって、チタン酸ストロンチウムのホモエピタキシャル薄膜の成長モード制御や高品質な薄膜作製が可能になった[M.Lippmaa et al.,Appl.Phys.Lett.76,2439(2000);M.Lippmaa et al.,J.Electroceramics4,365(2000)]。それと並行して、移動マスク機構を成膜装置に組み込み、パラレルで複数の異なる薄膜試料を高速に作製する方法を開発してきた[T.Ohnishi et al.,投稿中]。また、そのような試料の評価を同じく高速に行うために様々な評価手法の開発を行っている。現在開発済みの装置として、一括X線回折装置がある。これは試料に直線状に集光されるX線の回折をCCDカメラを用いて一挙に取り込む手法で、一度の測定(数分間程度)で異なる位置のX線回折スペクトルが得られる[K.Omote et al.,Proc.SPIE3941,84(2000);M.Ohtani et al.,準備中]。 コンビナトリアルレーザーMBE法を用いて、La_<1-x>Sr_xMnO_3(0≦x≦1))コンポジションスブレッド薄膜を作製し、一括X線回折装置で結晶構造を高速に評価し、走査型スクイッド顕微鏡で高速に磁性相を評価し、赤外顕微分光で高速に金属・絶緑性を評価し、それらの結果から、結晶構造・磁性相・電子相の相図を高速に構築することが可能になった[T.Fukumura et al.,Appl.Phys.Lett.77,3426(2000)]。
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