研究課題/領域番号 |
12046239
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 和芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (70133923)
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研究分担者 |
石田 憲二 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (90243196)
藤田 全基 京都大学, 化学研究所, 助手 (20303894)
北岡 良雄 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110707)
池田 靖訓 京都大学, 化学研究所, 助手 (20243090)
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キーワード | 濃度傾斜単結晶 / X線非弾性散乱 / 電子-格子相互作用 / 高温超伝導 / 電荷ストライプ |
研究概要 |
今年度は詳細な電子相図の作成を目的としLSCOの濃度傾斜単結晶の育成を試みた。長さ約10cmの単結晶の中にキャリヤー濃度の希薄な絶縁体(x〜0)から、超伝導相を経て、高濃度キャリヤーの金属領域(x〜0.3)に連続的に実現させることを目標とした。濃度傾斜がついていても、局所的に物性が測定できれば、単一濃度結晶に匹敵する均一濃度系の情報が得られ、しかも単結晶なので粉末試料では得られない詳細な情報収集も可能である。現状では、0.06<x<0.3の領域の長さ約8cmの単結晶が育成できている。濃度傾斜が予定通り付いているかどうかを調べるために、粉末x線と単結晶x線回折により、格子定数の場所依存性を調べた。後者の方法では、通常の回転陰極x線発生装置のビームを1mm以下に絞り、試料の移動機構を付加することにより、Bragg反射の散乱角の場所依存性を求め、得られた格子定数を文献値と比較してxを決定した。さらに結晶中のxが約0.07から0.22までの領域を約1.5mm程度の厚みで切断し、それぞれの単結晶の超伝導転移温度T_cをSQUIDで求めた。従来ごくわずかな転移温度の低下がx=0.115近傍で起こることが報告されていたが、今回の測定でその異常がより明確に確認され、濃度傾斜単結晶による研究が詳細な電子相図の作成に大変有効なことが実証できた。 濃度傾斜単結晶による局所物性測定の応用として、放射光によるx線非弾性散乱の予備的実験を行った。その結果、超伝導電荷揺らぎと強く結合するCu-Oボンドの伸縮モードまでの信号を高いエネルギー分解能で測定できることがわかった。
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