研究課題/領域番号 |
12047207
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 洋一郎 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70144425)
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研究分担者 |
小汐 由介 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (80292960)
竹内 康雄 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (60272522)
中畑 雅行 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (70192672)
宮野 和政 新潟大学, 自然科学研究科, 教授 (10011529)
西嶋 恭司 東海大学, 理学部, 助教授 (40202238)
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キーワード | ニュートリノ / 太陽ニュートリノ / スーパーカミオカンデ / ニュートリノ振動 |
研究概要 |
現在までに行われた太陽ニュートリノ実験により観測されている太陽ニュートリノ欠損は強くニュートリノ振動を示唆している。しかし、太陽ニュートリノ振動は、まだ確実でゆるぎのない決定的な証拠はなく、しかもいくつかの可能な解があり、質量差、混合角などは決まっていない。この太陽ニュートリノ振動を確定してゆく方法は、太陽ニュートリノの昼夜強度の違い(ニュートリノ振動への地球物質の効果)を観測することや、太陽ニュートリノのエネルギースペクトルの歪み(ニュートリノ振動のエネルギー依存性)を測定することである。これらは、太陽ニュートリノ強度の計画値に依存しない確実な証拠となる。本研究は太陽ニュートリノのエネルギースペクトル観測を広い範囲において行う。 このため2つの目標を設定した。第一の目標は、スーパーカミオカンデで観測可能なエネルギー閾値をできる限り下げることである。これはスペクトルの歪みの観測感度をあげることになり、これにより、MSW小角度解に対する判定が可能になる。我々は、エネルギー閾値を5MeVまで下げることに成功した。そして2000年10月までのデータによると、スペクトルの有意な歪みは見出せなかった。また、昼夜の違いも3%(1.5シグマ)で有意ではなかった。しかし、この高精度な測定により、MSWの小角度解が95%のレベルで排除されるという結果になった。これは、小角度解はスペクトルの歪みを要求するからである。 さて、この重要な結果を最終決着するには太陽ニュートリノの90%以上を占めるpp-7Be-ニュートリノでニュートリノ振動が確認され、パラメータが精密決定されることが必要である。本研究の第二の目標は、pp-7Be-ニュートリノ観測の測定器の開発を行いその実現可能性を示してゆくことである。本年度はこの目的のための最良の測定器が液体キセノン検出器であることを見出した。この測定器によると、10トンのキセノンを用いることで1日15事象のpp-7Be-ニュートリノガ観測できる。現在まで、3kgのテストチェンバーを製作し、測定器の基本的パラメータ、そして、実験の可能性を検討している。
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