研究課題/領域番号 |
12047215
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中家 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50314175)
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研究分担者 |
野村 正 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10283582)
笹尾 登 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10115850)
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キーワード | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 長期線ニュートリノ振動実験 / 電磁カロリメータ / シンチレータ |
研究概要 |
本研究の主目的は現在つくば-神岡間長基線ニュートリノ実験、K2K実験で使用されている鉛ガラス電磁カロリメータの代わりとなる高性能カロリメータの研究開発である。このため、固体シンチレータの波長変換ファイバーを使った読出しを考えていたが、研究中、主にコストの面から、固体シンチレータを液体シンチレータに代えた方が安上がりになることがわかり、液体シンチレータを研究種目の第1番目に持ってきた。平成12年度は主に、液体シンチレータの波長変換ファイバー読出しの基礎特性の研究を行った。また、この研究には多チャンネルを安価に読み出せる、Multi-Anode PMT(MA-PMT、多チャンネル光電子増倍管)のテストも含まれている。 当初、宇宙線を使って、バイクロン社製のBC-517L液体シンチレータ、クラレ社製のY-11シリーズ波長変換ファイバー、浜松フォトニクス社製のR5900-M16シリーズMA-PMTを使い、1ファイバー当り15〜20光電子を観測した。この結果は高性能電磁カロリメータの要請を十分満たしている(注:米国フェルミ研のMINOS実験では1ファイバー当り約8光電子)。また、これだけの光量があると、電磁カロリメータとしてではなく、飛跡検出器として使用しても十分にエネルギー測定が可能であり、このため検出器をカロリメータから飛跡検出の性能を持つものへと拡張した。平成12年度末にはKEKにおいてビームテスト(T476実験)を行い、当初の予想通り、飛跡検出器として十分に機能すること、またエネルギー測定によって陽子・π中間子の識別が可能なことを証明した。この結果はKEKの陽子シンクロトン(PS)のレビュー会議で報告され、現在この飛跡検出器の開発及びK2K実験への導入はレビュー委員会からの第1推薦項目として認められることとなった。
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