ニュートリノ質量行列の現象論的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12047220
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 谷本 盛光 新潟大学, 理学部, 教授 (90108366)
• 研究分担者: 緑川 章一 青森大学, 工学部, 助教授 (00265133) ; 中野 博章 新潟大学, 理学部, 助手 (60262424)
• キーワード: ニュートリノ振動 / 質量行列 / Texture Zeros / レプトジェニシス

研究概要

この研究は、ニュートリノ振動に関する実験データの解析結果を手がかりとして、ニュートリノ質量行列の構造を明らかにすることを目的にしている。初年度はこれらの現象論的分析に基づいて、フレーバーの起源を探るためニュートリノ理論の対称性に基づいた現象解析を行った。また、KamLAND等新しいニュートリノ振動の実験結果にもとづいて、ニュートリノ質量行列の新しい現象論的分析もあわせて行なった。とりわけ、超対称性理論の専門家を分担者に加え、この方面の理論研究も推進した。研究実績は以下の通りである。
1 Texture Zerosをもったニュートリノ質量行列のモデルの現象解析をKamLANDの新しいニュートリノ振動の実験結果を用いておこなった。
2 シーソー機構の具体的モデルをTexture Zerosに基づいて研究し、その典型的パターンを発見した。
3 宇宙のバリオン生成をLeptogenesisから説明するため、質量行列のモデルを用い、その予言をおこなった。
4 スーパー神岡の実験グループや日本のニュートリノ理論研究のグループで討論するため、今年1月に40名規模の全国的研究会を新潟大学において開催し、現象面の研究と理論面の研究の発展性について検討した。

研究成果

• [文献書誌] S.Kaneko: "Neutrino Mass Matrix with Two Zeros and Leptogenesis"Physics Letters B. B551,1. 127-136 (2003)
• [文献書誌] C.Giunti: "CP Violation in Bilarge Lepton Mixing"Physical Review D. D66,11. 113006 (2002)
• [文献書誌] T.Endoh: "CP Violation in Neutrino Oscillation and Leptogenesis"Physical Review Letters. 89. 231601 (2002)
• [文献書誌] C.Giunti: "Deviation of Neutrino Mixing from Bimaximal"Physical Review D. D66. 053013 (2002)
• [文献書誌] A.Kageyama: "Seesaw Realization of the Texture Zeros in the Neutrino Mass Matrix"Physics Letters B. B538,1. 96-106 (2002)
• [文献書誌] T.Kobayashi: "Sfermion Mass Degeneracy, superconformal Dynamics, and supersymmetric Grand Unified Theories"Physical Review D. D66. 095011 (2002)