研究課題/領域番号 |
12047227
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
吉田 哲也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50222394)
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研究分担者 |
槇田 康博 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (30199658)
吉村 浩司 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50272464)
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キーワード | BESS気球実験 / 超伝導スペクトロメータ / 一次宇宙線 / エネルギースペクトル / 大気ニュートリノ絶対流束 / 高運動量分解能 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
BESS超伝導スペクトロメータの運動量分解能向上を目的とした新しいドリフトチェンバ・ガス飛跡検出器システムを開発・搭載し、0.2〜500GeVの広いエネルギー領域における陽子・ヘリウム一次宇宙線のエネルギースペクトルと絶対流束の精密測定を目的とした宇宙線観測気球実験を実施した。 平成12年度より開発・製作が続けられた新ドリフトチェンバシステムは平成14年度の気球実験前に完成し、BESS超伝導スペクトロメータに搭載された。併せて低消費電力で多チャネルの信号読出しを可能とする新しい前置増幅器とフラッシュ型ADCも搭載された。 気球実験で得られたデータを現在解析中であるが、全実験期間中にわたってスペクトロメータは期待された性能を発揮したことが確かめられている。この実験によって500〜600GeVの高エネルギー領域での100事象程度の陽子を測定できたと予測され10%程度の統計精度でのエネルギースペクトルを導出できると考えられる。 こうして運動量分解能がこれまでに比べて7倍向上し、測定可能最大磁気硬度(MDR)は1.4TVとなった改良型BESS測定器(BESS-TeV測定器)は平成14年8月7日にカナダ・マニトバ州リンレークより大型科学観測用気球によって高度約37kmの高空に打上げられ、16.5時間の宇宙粒子線観測が実施できた。 今後より精密な測定器較正を進め、本研究の研究期間中に大気ニュートリノ流束計算の入力となる数百GeVまでの一次宇宙線エネルギースペクトルを発表する予定である。 なお本研究でのこれまでの成果は「第4回ニュートリノ振動とその起源ワークショップ(NOON2003)」や日本物理学会などで報告された。
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