研究課題/領域番号 |
12047231
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
春山 富義 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (90181031)
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研究分担者 |
松原 洋一 日本大学, 理工学部, 教授 (80125062)
土井 義城 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (60044765)
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キーワード | パルス管冷凍機 / 液体セノンカロリメータ / 粒子検出器 |
研究概要 |
m→e^+γ実験に使用可能な高速・高分解能カロリメータの開発において、長期間にわたって大容量の低温液体キセノンを安定に保持することは重要な課題である。液体キセノンの沸点近傍(165K)で大きな冷凍能力を持ち、液体キセノン中で多数のフォトマルを駆動するようなカロリメータ等においても充分対応しうる小型パルス管冷凍機および再凝縮システムを開発した。 冷凍機冷凍能力の設計値は、液体キセノンカロリメータ用大型プロトタイプクライオスタットの熱負荷に合わせて、165Kで65Wとした。構造はパルス管と蓄冷器を同軸にしたが、製作上の簡易さも考慮して内筒にSUSメッシュ(#300X860枚)、外側空間をパルス管とする方式とした。移相方式は、単純オリフィスによるものとダブルインレットの両方式について実験を行ない比較した。各方式での各部の損失および冷凍能力の算出には、「仮想PV法」によるシミュレーションプログラムを用いた。 開発したパルス管冷凍機を格納する真空容器を製作し、高真空断熱下で冷凍能力等の試験を行なった。その結果、単純オリフィス方式で最低温度65K、165Kでの冷凍能力として70Wを得ることができた。このことから165Kという比較的高い温度領域では、高性能である一方、温度不安定などをおこす可能性のあるダブルインレット方式を使わなくても冷凍能力が確保できるという知見を得ることができた。 冷凍機低温端には、液体凝縮のためのフィン型熱交換器を設計した。フィン上においてはキセノンが膜状凝縮をおこすと考えて表面積、間隙の設計を行なった結果、一枚のフィンの厚さが1mm、間隙が2mm、フィン長70mmの再凝縮用熱交換器を製作した。パルス管冷凍機を液体キセノンカロリメータ用大型プロトタイプクライオスタットに取付け、キセノン液化および再凝縮の実験を行ない、冷凍機によるキセノン液化を確認した。
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