グルタミン酸とGABAが抑制性伝達物質としてザリガニ局所神経回路内でどのように機能を分担しているか明らかにするため、生理学的・薬理学的・免疫組織化学的解析を行った結果、(1)細胞内染色・免疫組織化学染色の二重ラベル法の開発により、i)70個のGABA作動性、120個のグルタミン酸作動性ニューロンの存在を明らかにし、ii)ノンスパイキングニューロンのうち、AL-IIIタイプのニューロンのみが選択的にグルタミン酸抗体に対し陽性反応を示し、残りの2つのALグループ並びにPLニューロンはGABA作動性であることを明らかにし、iii)ノンスパイキングニューロンにダイレクトな抑制性出力を持つスパイキング局在ニューロンがグルタミン作動性であることがわかった。(2)生理・薬理学的実験遂行により、i)多くの局所回路ニューロンはグルタミン酸・GABAのニューロパイル内微量投与に対し、同様の抑制性応答を示し、ii)一般的に局所回路ニューロンはピクロトキシン・低Cl生理食塩水灌流下ではGABA圧注に対する応答には変化が見られないのに対し、グルタミン酸圧注に対する応答は逆転し、iii)感覚刺激に対する開筋支配の尾扇肢運動ニューロンの抑制性応答はピクロトキシン灌流下で変化せず、この抑制性応答がGABA作動性のノンスパイキングニューロンによって形成されていることがわかり、iv)ノンスパイキングニューロン間の抑制性接続においてシナプス前ニューロンとなるのは常にGABA作動性ニューロンの方であることが明らかになった。
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