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2000 年度 実績報告書

昆虫機械受容系の熱雑音感受性と中枢における微弱信号抽出機構

研究課題

研究課題/領域番号 12048202
研究機関北海道大学

研究代表者

下澤 楯夫  北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10091464)

研究分担者 馬場 欣哉  富山大学, 工学部, 講師 (30238232)
キーワード昆虫 / 機械感覚細胞 / エネルギー感度 / 閾値 / 熱雑音 / 確率共鳴 / 情報伝送速度 / 内部雑音
研究概要

昆虫の機械受容細胞では、熱雑音が微弱信号の検出に有効に寄与していること、を神経パルス列として運ばれる情報伝送速度(bits/秒)を測定して実証した。
具体的には、1)閾値付近の人工白色雑音刺激を繰り返し与えて感覚細胞の発火を測定し、平均発火応答と1回ごとの応答の差を内部雑音と見なして情報伝送量を(bits/秒)を測定した。背景に「繰り返さない外部雑音」を重畳させ、その強度を変えて情報量を測定し、k_BT程度のエネルギーの外部雑音が感覚細胞の発火時刻を左右して、中枢へ送られる情報量を増すことを示す。感覚細胞が刺激から吸収した機械エネルギー量は感覚毛の長さから算出する。感覚細胞2個からの同時記録を効率よく行うため、実体顕微鏡とディジタルオシロスコープを導入した。2)中枢の介在神経と感覚細胞の応答の同時記録をとり、両者の閾値付近の刺激への応答から、感覚細胞1個あたりの介在神経への情報伝達量を測定するための予備実験を開始した。
その結果、1)気流感覚細胞の神経パルス列が中枢へ運ぶ情報伝送速度(bits/秒)の計測装置を組み上げて、刺激の強さを変えた測定により、刺激が強ければ情報伝送速度も高く、閾値付近の刺激では低かった。刺激の強さがパルス発火頻度(spikes/秒)に変換されるrate codingを考慮に入れて、個々の神経パルスが一定の情報量を担っていることを示した。2)情報伝送速度(bits/秒)を神経パルスの発火頻度(spikes/秒)で割って、神経パルス1発が運ぶ情報量(bits/spike)を求めた。この統計量は推定に用いるデータ個数によって変わるが、同じデータ個数での推定値を比べると、刺激が弱いほど多くの情報を担っていた。すなわち、感覚細胞の内部雑音が刺激の検出に寄与していることを明らかにした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Y.Baba: "Proportional inhibition in the cricket medial giant interneuron"J Comp Physiol A. 187. 19-25 (2001)

  • [文献書誌] 下澤楯夫: "神経系は熱雑音をも利用する"生物物理. 229. 156-161 (2000)

  • [文献書誌] H.Suzuki: "Analysis of neural spike trains with interspike interval reconstruction"Biol.Cybern.. 82. 305-311 (2000)

  • [文献書誌] 木立智英: "コオロギの気流感覚細胞における情報量の計測"電子情報通信学会技術報告. MBE2000-29. 7-11 (2000)

  • [文献書誌] 馬場欣哉: "昆虫気流感覚介在神経における等比抑制"電子情報通信学会技術報告. MBE2000-28. 1-6 (2000)

  • [文献書誌] 下澤楯夫: "バイオミメティックハンドブック"エヌ・ティー・エス. 1139 (2000)

  • [文献書誌] T.Shimozawa: "Proceedings of the international symposium on Recent Developments in Auditory Mechanics"World Scientific. 528 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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