研究課題/領域番号 |
12048211
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河内 啓二 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60143400)
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研究分担者 |
稲田 喜信 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60302791)
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キーワード | 昆虫 / 飛行制御 / はばたき翼 / 微小脳 / 非対称翼運動 / マルハナバチ / 計算機シミュレーション |
研究概要 |
本年度の研究の結果、以下のことが明らかになった。 (1)マルハナバチのテザート飛行について、飛行メカニズムを近接撮影し、さらに飛翔筋の筋電位と翼運動の同時計測を行った。その結果、マルハナバチの筋電位の1パルスの変動に対して、羽の運動は約10回羽ばたくことが明らかになった。 (2)光刺激装置を完成させ、光刺激に対する翼運動の変化を同定した。特に上下運動に対応する光刺激に対し、羽ばたき振幅と周波数の両方に大きな変化が観察された。また左右移動に対応する光刺激に対し、左右の羽の羽ばたき振幅に大きな差異が生ずること、ただし羽ばたき周波数は左右で同一なことが観察された。これらの羽の運動応答は、マルハナバチの重心に生ずる種々の運動が引き起こす視覚情報の変化に等しい光刺激が与えられた時、そのような運動を打ち消すように行われていると統一的に解釈できることが示された。 (3)光刺激の急変に対し、羽の運動は約0.1秒の遅れを持って追随し始めるが、変化に完全に対応するまでには約0.3秒の時間が必要であった。 (4)マルハナバチの非線形6自由度の羽ばたき飛行運動方程式を導き、計算機シミュレーションモデルを完成し、実験結果と比較検討した。その結果、実験結果を説明するには、非定常理論より得られる大きな揚力係数が必要なこと、制御の時間遅れが重要なパラメタであることが示された。
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