(1)今年度の計画 本研究は蛋白性蛍光センサープローブを開発し、ショウジョウバエの脳に発現させて嗅覚系および味覚系の神経回路の同定とその情報処理の過程を明らかにすることを目的とする。今年度の計画では蛍光センサープローブ(カルシウムプローブ)の開発とショウジョウバエへのプローブの導入を行った。 (2)今年度の成果 我々はGreen Fluorescent Protein(GFP)を用いて蛍光カルシウムセンサー蛋白質(G-CaMP)を作成した。G-CaMPはGFPとカルモジュリン、myosin light chain kinaseのM13断片からなっている。G-CaMPのカルシウムに対する感受性は高くKdは235nMであった。また蛍光の最大変化量Fmax/Fminは約4.5であった。G-CaMPの励起蛍光特性はGFPと非常によく似ているので従来の蛍光顕微鏡やアルゴンレーザーを用いたレーザー顕微鏡でも観察することが可能である。G-CaMPをHEK293細胞および培養骨格筋細胞に発現させて、ATPやカルバコール、脱分極等の刺激を与えてカルシウムの変化を観察したところ、サブマイクロモルオーダーのカルシウム濃度の変化を測定することができた。また培養したマウス骨格筋細胞にG-CaMPを発現させたところ電気刺激による細胞内カルシウムの上昇を顕微鏡を通して肉眼でも観察することができた。GFPを用いた蛍光センサーの開発に関して特許を申請した。G-CaMPはcofactorを必要とせず、適当はプロモーターを選択することにより細胞特異的な発現が可能で、現在ショウジョウバエにG-CaMPを発現させるべくトランスジェニックを作成中である。
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