研究課題/領域番号 |
12050203
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
木山 博資 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00192021)
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研究分担者 |
濤川 一彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50312468)
瀬尾 寿美子 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70311529)
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キーワード | 神経損傷 / 再生 / 軸索再生 / TC10 / アデノウイルスベクター / 舌下神経 / 遺伝子探索 |
研究概要 |
本研究は、神経障害に耐性のある末梢神経の再生・修復現象から、損傷神経の「温存」再生に必要なメカニズムを抽出し、損傷中枢神経の再生を目的としている。このため、再生関連の遺伝子探索からその機能解析、さらに遺伝子導入にいたるまでの、一連の研究を統合的に推進し、強力にボトムアップさせることをめざしている。平成12年度は、遺伝子スクリーニングから得られた遺伝子のうち、いくつかのものについて機能解析を試みた。得られた遺伝子のうちエンドセリンファミリーについては神経再生過程で、リガンドと受容体がそれぞれ損傷神経とグリアに発現することから、神経-グリア間の情報伝達に関与している可能性を明らかにした。また、神経軸索伸展に関与している可能性があるTC10やCRMPについては、アデノウイルスベクターを構築し機能解析を行った。TC10については実際に再生軸索の伸展作用があることが培養系で明らかになった。CRMPについてはファミリー間での神経損傷後の発現応答の違いを明らかにし、さらに培養系で軸索伸展現象とCRMP2の発現にはきわめて高い相関があることも明らかにした。ATF-3については、神経傷害にきわめて特異的に発現する転写因子であることが明らかになったので、この遺伝子の発現により、いかなる遺伝子発現が引き起こされるのかについて、研究を進める予定である。また、神経細胞死にかかる遺伝子については、神経栄養因子の受容体の神経損傷に対する発現応答性が生後の発達とともに変化することを見いだしており、この変化と損傷神経細胞の生存・死の運命決定が相関していることから、ウイルスベクターを用いて神経栄養因子受容体の発現応答の機能的意義に関して、今後研究を行う予定である。
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