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2000 年度 実績報告書

ヒトの脳における確率共振現象の実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 12050212
研究機関東京大学

研究代表者

山本 義春  東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60251427)

キーワード動脈血圧反射 / 心肺圧反射 / 確率共振 / ゆらぎ / 機能的意義
研究概要

脳・神経系を取り巻く環境中には、ミクロからマクロまで、様々なレベルで「ゆらぎ」が観察される。その中には脳が動的に生成するものまで含まれているにも関わらず、このようなゆらぎが脳それ自身の情報処理様式にどのような影響を与えるかについては十分検討されてこなかった。近年、ゆらぎと脳・神経系における情報伝達に関する研究が、確率共振(Stochastic Resonance;SR)との関連から注目されている。すなわち、生体が外界の情報を取得する際、あるいは神経細胞の連携によって情報処理を行う際、ゆらぎの存在が、ある場合にはそのパフォーマンスを高める可能性が示唆されてきた。しかしながら、従来のSRの実験的研究においては、そのほとんどが末梢の感覚神経におけるSRを実証するにとどまる。よって本研究では、比較的単純な脳機能としてヒトの延髄における血圧調節機能に注目し、このシステムにSRが観察されるかを、頸動脈洞圧のランダム負荷を用いて既知のノイズを印加することにより実験的に検証することを目的とした。
初年度においては、主として以下の2つの実験を実施した。まず、健常成人8名を対象として、電動ティルトテーブルの傾斜角度を0〜20゜の範囲で正弦波的に微細変化させたときの中心静脈圧の変動を延髄の循環中枢に入力した。同時に、新たに開発したネックチャンバー・システムを用い、頸部へのランダムな空気圧負荷によって(体血圧とは独立な)ノイズを一心拍毎に頚動脈洞圧受容体に印加し、延髄レベルで信号と交差させた。その結果、中心静脈圧入力に対する心拍数の応答が、加えたノイズ強度の上昇にともなって一過性に上昇することが確認され、循環中枢レベルでのSRの存在が確認された。さらに同様な実験を下肢陰圧試験を用いて行い、その際、下肢の血管抵抗を調節する筋交感神経活動の応答が、ノイズ印加により有意に高まることが示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Fortrat,J.O.,Y.Yamamoto, et al.: "Effect of prolonged head-down bed rest on complex cardiovascular dynamics."Autonomic Neuroscience. 86. 192-201 (2001)

  • [文献書誌] Togo,F.,and Y.Yamamoto.: "Decreased fractal component of human heart rate variability during non-REM sleep."American Journal of Physiology, Heart and Circulatory Physiology. 280. H17-H21 (2001)

  • [文献書誌] Hidaka,I.,D.Nozaki,and Y.Yamamoto.: "Functional stochastic resonance in the human brain : Noise induced sensitization of baroreflex system."Physical Review Letters. 85. 3740-3743 (2000)

  • [文献書誌] Kotani,K.,I.Hidaka,Y.Yamamoto,and S.Ozono.: "Analysis of respiratory sinus arrhythmia with respect to respiratory phase."Methods of Information in Medicine. 39. 153-156 (2000)

  • [文献書誌] Aoyagi,N.,K.Ohashi,S.Tomono,and Y.Yamamoto.: "Temporal contribution of body movement to very long-term heart rate variablity in humans."American Journal of Physiology, Heart and Circulatory Physiology. 278. H1035-H1041 (2000)

  • [文献書誌] Fukusaki,C.,K.Kawakubo,and Y.Yamamoto.: "Assessment of the primary effect of aging on heart rate variability in humans."Clinical Autonomic Research. 10. 123-130 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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