免疫システム構築の情報伝達制御

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12051103
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 烏山 一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60195013)
• 研究分担者: 徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20134364) ; 桂 義元 京都大学, 再生医学研究所, 教授 (90027095)
• キーワード: プレB細胞レセプター / B細胞分化 / Btk / BLNK / サイトカイン / STAT / NK細胞 / CD94

研究概要

「リンパ球の初期分化を誘導・制御するシグナル伝達機構」「リンパ球の系列分岐・運命分岐を決定するシグナル伝達機構」「末梢リンパ組織における免疫系再構築のシグナル伝達機構」を研究課題とする3つの計画研究を設定して、8名の計画研究班員と15名の公募研究班員によって研究を遂行した。本調整班では、各研究計画が効率よく密接な連関をもって進むように、共通する研究方法の条件を設定し、共通機器の選定購入、研究資材の交換ならびに共通試薬の検定をおこなうなど、研究支援体制強化につとめた。本研究を進めるに当たっては、新規遺伝子のクローニング、トランスジェニックマウスやノックアウトマウス作製用の組換え遺伝子の構築、遺伝子変異体の作製など、迅速かつ正確なDNAシークエンスの遂行が要求される場面が非常に多い。そこで、スラブゲル調整を必要とせず迅速なDNAシークエンスが可能なキャピラリー電気泳動式のDNAシークエンサー(ABI PRISM310-10)を調整班で研究支援機器として購入し、DNAシークエンスを一括しておこなえる体制を整えた。これにより、研究の効率化とともに試薬経費の削減などもはかられた。また、各研究者が所有するモノクローナル抗体、細胞株、遺伝子、cDNA・ゲノムライブラリーなどの研究資材をリストアップし、研究者間の情報交換や資材の共有化を押し進めた。このような研究支援体制を整えたことにより、初年度にもかかわらず、免疫システム構築の情報伝達制御機構に関していくつもの新知見を得ることができた。

研究成果

• [文献書誌] Maki,K., et al.: "Immunoglobulin β signaling regulates locus accessibility for ordered Ig gene rearrangements."J.Exp.Med.. 191. 1333-1340 (2000)
• [文献書誌] Nomura,K., et al.: "Genetic defect in human X-linked agammaglobulinemia impedes a maturational evolution of pro-B cells into a later stage of pre-B cells in the B-cell differentiation pathway."Blood. 96. 610-617 (2000)
• [文献書誌] Kurosaki,T.and Tsukada,S.: "Connecting Syk and Btk to calcium signals."Immunity. 12. 1-5 (2000)
• [文献書誌] Baba,Y., et al.: "BLNK mediates Syk-dependent Btk activation."Proc.Natl.Acad.Sci.USA.. (In press).
• [文献書誌] Agata,Y., et al.: "Histone acetylation determines the developmentally regulated accessibility for T cell receptor-γ gene recombination."J.Exp.Med.. (In press).
• [文献書誌] Toyama-Sorimachi,N., et al.: "Mouse CD94 participates in Qa-1-mediated self recognition by NK cells and delivers inhibitory signals independent of Ly-49."J.Immunol.. (In press).