カルシニューリン(CN)はTCR刺激によって誘導される細胞内カルシウム濃度の上昇に伴って活性化するセリン・スレオニン脱リン酸化酵素として知られている。このCNの酵素活性のない変異体をT細胞特異的に発現したCNドミナントネガティブトランスジェニック(dnCN Tg)マウスを作製し、ヘルパーT細胞機能分化における役割について検討を行ったところ、dnCN TgのCD4T細胞はTh2細胞への分化能が著しく低下していた。このことから、Th2細胞への分化はTh1細胞の分化に比べCNの活性化への依存がより高いことがわかった。また、TCR刺激によりCNが活性化するとIL-4受容体からの効率良いシグナル伝達に必要なキナーゼ、Jak3の発現が誘導されることもわかった。さらに、Jak3の発現が誘導された活性化T細胞では、IL-4の刺激により従来から報告されているSTAT6に加えSTAT5も活性化すること、そしてSTAT5の活性化はIL-4によるT細胞増殖に必要であることが初めて示された。
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