アポトーシスの情報伝達制御

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12051218
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 米原 伸 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (00124503)
• 研究分担者: 井上 純一郎 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70176428) ; 酒巻 和弘 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (20271017)
• キーワード: アポトーシス / Fas / caspsae-8 / FADD / 自己免疫疾患 / リンパ球 / NFκB / TRAF

研究概要

マウスにおいて、Fasを介するアポトーシス誘導の分子機構を正確に解析するために、Fas刺激の際に形成される少なくともFas、FADD、caspase-8から成るDISC(death-inducing signaling complex)を同定する必要がある。そのために、マウスcaspase-8を特異的に認識するモノクローナル抗体を作成した(以前から報告されている抗マウスcaspsae-8モノクローナル抗体は非特異的なものであることも示した)。そして、マウスにおけるDISCの解析を可能とし、以前に報告されているマウスDISCが必ずしも正しくないことを示した。また、B細胞において抗原刺激によってFasを介するアポトーシスが抑制される系を確立した。
TRAF6欠損線維芽細胞にTRAF6変異体を適当量発現させ、TRAF6の生理的な機能領域を同定した。その結果、N端側にあるRING finger及び5つの中の最初のZinc fingerはNFκB活性化に必須でなかった。しかし、この領域はMAPK活性化に関与した。またNFκB活性化においてLPSの場合2と3番目のZinc fingerを必要としたが、IL-1は4と5番目を必要とした。本結果は、TRAF6がZn結合領域中に複数の機能部位を有し、その部位により複数の下流タンパク質にシグナルを伝達していることを強く示唆する。

研究成果

• [文献書誌] Hirotaka Kazama Shin Yonehara: "Oncogenic K-Ras and basic FGF prevent Fas-mediated apoptosis in fibroblasts through activation of MAP kinase"J.Cell Biol. 148. 557-566 (2000)
• [文献書誌] Takeshi Shimaoka, その間5名 Shin Yonehara: "Molecular cloning of a novel scavenger receptor for oxidized low density lipoprotein, SR-PSOX, on macrophages"J.Biol.Chem. 275. 40663-40666 (2000)
• [文献書誌] Takahiro Oh Yama, その間3名 Kazuhiro Sakamaki: "Reduction of thymocyte numbers in transgenic mice expressing viral FLICE-inhibitory protein in a Fas-independent manner"Microbiol.Immuno. 44. 289-297 (2000)
• [文献書誌] Masao Murakawa, その間2名 Shin Yonehara: "Apoptosis-Inducing Protein, AIP, from parasite-infected fish induced apoptosis in mammalian cells by two different molecular mechanisms"Cell Death Differ. (in press). (2001)
• [文献書誌] Kobayashi N, その間5名 Inoue J: "Segregation of TRAF6-mediated signaling pathways clarifies its role in osteoclastogenesis"EMBO J. (in press). (2001)
• [文献書誌] Inoue,J, その間5名 Yamamoto,T: "Tumor necrosis factor receptor-associated factor(TRAF) family : adapter proteins that mediate cytokine signaling"Exp.Cell Res. 254. 14-24 (2001)