| 研究概要 |
ITAMに含まれるチロシン残基がリン酸化されることがBCRシグナルを展開するうえで必須であり、なおかつ細胞内タンパク質のチロシンリン酸化がBCR刺激後一番最初に検出できる生化学的反応という事実に基づき、1990年代チロシンキナーゼ群(PTKs)のBCRシグナルにおける役割が活発に検討されてきた。特にLyn, Syk, BtkのBCRシグナルにおける重要性、およびLyn, Syk, Btkの活性化機構が明らかにされてきた。
このような今までの成果を踏まえて,B細胞の活性化を担っているアダプター分子、BLNK, BCAPを単離しその役割解明、又細胞表面レセプター、特にB細胞レセプター(BCR)とのカップリング機構の解明を行った。BLNKはBCR刺激依存性に細胞膜の特殊な分画であるGEM分画に移行することがより下流のシグナル伝達、特にPLC-γ2の活性化に必須であることを明らかにした。
又、PI-3K活性化機構はブラックボックスのまま扱われてきていたが、新規のアダプター分子BCAPを単離し、BCAPがチロシン燐酸化されることが必須であることを明らかにした。更に、BCAPノックアウトマウス解析により、BCAPがB2細胞の最終分化、及び、B1細胞のdevelopmentに必須であることを見出した。
シグナル分子α4の欠損マウスを樹立することにより、α4がTD・TI-II抗原反応に対して必須の役割を担っていることを明らかにした。
B細胞の核内で起こる分子メカニズムについては、核内因子GANPを単離し、1)GANPが、BCR及びCD40によってリン酸化されること、2)GANPが細胞複製機能分子MCM3と会合していることを明らかにした。
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