研究課題/領域番号 |
12052201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 一郎 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10113523)
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研究分担者 |
増田 税 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60281854)
石川 雅之 (独立行政法人)農業生物資源研究所, 生理機能研究グループ, チーム長 (70192482)
三瀬 和之 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90209776)
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キーワード | 植物ウイルス / 病原性 / 相互作用 |
研究概要 |
植物ウイルスの病原性と増殖の分子機構に関して以下の結果を得た. 1.SBLVはS96に激しい病徴を起こす。さらに、この表現型に関与する不完全優性の核内単一遺伝子座SSB1が同定された。S96における病徴発現にはサリチル酸経路が関与していることが示唆された。また、エチレン経路は病徴発現を抑制的に制御している可能性があることが示唆された。 2.トマトのTm-1は、半優性遺伝因子で、トマトモザイクウイルス(ToMV)の1細胞内での増殖を抑制する。タバコBY-2培養細胞抽出液をベースにした試験管内ToMV RNA複製系に、Tm-1トマト培養細胞抽出液を加えることにより、ToMV-L特異的RNA複製阻害活性のアッセイ系を確立した。検出された阻害活性は、ToMV RNA複製障害は複製タンパク質の合成以降で起こることが示唆された。今後、各種クロマトグラフィーを組み合わせてTm-1活性を精製する。 3.CMVのPTGS抑制機能には宿主特異性があることを明らかにした.ダイズに感染するCMV(CMV-Sj)は黄ダイズに斑紋を誘導する。CMVのY系統は、ダイズに感染しない。CMVのPTGSサプレッサーは2bタンパク質であり、このCMVのY系統2b遺伝子をもつキメラCMVを作出してダイズに接種した結果、斑紋を誘導できないウイルスを作り出せた。このウイルスは種皮での増殖、蓄積量もCMV-Sjのそれとほとんど差がなかった。すなわち、ダイズに感染しないCMVのPTGSサプレッサーはダイズでは機能しなかった。したがって、CMV-Sjの2bタンパク質が特異的にCHS遺伝子のmRNAを上昇させ、斑紋を誘導したことを証明した。 4.PotyvirusのHC-Pro遺伝子が、PTGSを抑制する。この抑制活性と病徴の軽減が相関するか調べた。えそを起こすpClYVV(W)と起こさないpClYVV/27MM、pClYVV/193MMよりHC-Pro領域を発現ベクターに挿入した。GFPのジーンサイレンシングを起こしたベンサミアーナ植物にAgro-infiltration法でHC-Proの抑制活性を調べた。活性は、Wで最も高く、27MMでも認められたが193MMでは検出できなかった。
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