ホップ矮化ウイロイド及びジャガイモspindle tuberウイロイドを各々キュウリとトマトに接種し、接種前及び接種後(28、35日目)の茎葉からmRNAを抽出し、ディファレンシャルディスプレイ法(以下DD法)により、各ウイロイド感染前後で発現レベルに違いの見られたmRNAを特定した。 約200種類のプライマーの組み合わせでDD法を行ない、ウイロイド感染前後のmRNA発現レベルの比較を行なった結果、ホップ矮化ウイロイド/キュウリの系では20種類以上、ジャガイモspindle tuberウイロイド/トマトの系では30種類以上のバンドで増幅量に顕著な違いが確認された。その内で、ホップ矮化ウイロイド/キュウリの系では、感染後バンドの濃さが増加したもの、即ちmRNAの転写が活性化したと考えられたものが15種類、逆にウイロイド感染後バンドの濃さが減少したもの、即ちmRNA転写量が抑制されたと考えられたものが9種類検出された。一方、ジャガイモspindle tuberウイロイド/トマトの系では、感染後転写が活性化されたと考えられたものが20種、抑制されたと考えられたものが19種検出された。 さらに、両ウイロイド/宿主間で共通に増幅量の違いが認められたものを中心に、増幅バンドを回収し、クローニング後、シークエンスを解析してデーターベース上でホモロジー検索を行なった結果、トマトpsbX mRNA、トマト VFNT Cherr Pto locus内のmRNA、シロイヌナズナDEAD mRNAなどと相補性を示すmRNAであることが確認された。今後、得られたcDNAをプローブとしてノーザン解析を行なって、ウイロイド感染による発現量の変化をより詳細に分析する予定である。
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