植物病原細菌によるタイプIII分泌機構に依存した発病抵抗性誘導機構に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12052210
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 静岡大学
• 研究代表者: 露無 慎二 静岡大学, 農学部, 教授 (30090541)
• キーワード: カンキツかいよう病菌 / イネ白葉枯病菌 / かいよう形成因子 / avrXa10 / HR / テロメア / テロメラーゼ

研究概要

発病因子としてカンキツかいよう病菌のPthA、品種特異的抵抗性誘導因子としてイネ白葉枯れ病菌のAvrXa10をモデル系として、これらの作用機構を調べ、以下の事を明らかにすることが出来た。
1)カンキツかいよう病菌より耐熱性エリシタータンパク質を純化し、これを生産する遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定した。相同性検索から、このタンパク質は、他の植物病原細菌で報告されているハーピンとは全く相同性を示さないが、生化学的には共通したタンパク質であった。
2)非植物病原細菌Pseudomonas fluorescensにhrp遺伝子群及びpthA或いはavrXa10を導入した形質転換体を用いて、化学発光を指標にした活性酸素の生成パターン、リグニン染色、タバコ葉におけるHR誘導を解析し、いずれの因子もハーピンによると考えられる一般的抵抗性反応を抑制するサプレッサーであることを発見した。このことから、カンキツのかいよう症状は、HR反応が遅延したものであると考え、これについて解析を行っている。化学発光を指標にした活性酸素の生成パターン、リグニン染色、タバコ葉におけるHR誘導の実験結果から、
3)カンキツかいよう病菌を宿主植物に接種すると、7日目頃より病徴が現れるが、その直前より一過的にテロメラーゼの活性が高くなることを発見した。動物のガンと同様にテロメラーゼが植物の増生的病徴発現に関与することを示唆するもので、この可能性について検討するため、カンキツよりTERT遺伝子をクローニングした。

研究成果

• [文献書誌] SHIOTANI,H,・・・: "Pathogenic Interactions between Xanthomonas axonopodis pv. citri and Cultivars of Pummelo (Citrus grandis). "Phgtopathology. 90. 1383-1389 (2000)
• [文献書誌] ALMEIDA,A,G.・・・: "Isolation of a Protein Bound to Cauker-forming factor from citrus plant"J.Gen.Plant Pathol.. 66・2. 138-143 (2000)
• [文献書誌] ALMEIDA,A,G.・・・: "Cloning of a genomic DNA encoding caffeoyl-coenzyme A-3-0-methyltransferase of citrus"J.Gen.Plant Pathol.. 66・2. 144-148 (2000)
• [文献書誌] SUBANDIYAH,S.・・・: "Comparsion of 16 s rDNA and 16s/23 S Intergenic region Acquences among Citrus Greening Orgeenisms"Phant Disease. 84. 15-18 (2000)
• [文献書誌] Roaanet,C.et al: "Regulation of peID and peIE, encoding major alkaline pectate lyases in Erwinia chrysanthemi"J.Bacteriol. 181. 5948-5957 (1999)
• [文献書誌] Nomura,K et.al.,: "Self-regulation of Pin, a regulatory protein responsible for hyperinbluction of pectate"Mole.Plant-Miorde Interact.. 12・5. 385-390 (1999)
• [文献書誌] Tsugermu,S(分担): "Delivery and perception of pathogen signals in plants"APS Press. 280 (2000)