研究課題/領域番号 |
12052214
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
久能 均 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024573)
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研究分担者 |
蔡 晃植 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (00263442)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | うどんこ病菌 / 細胞外物質 / 付着 / 拒否性 / Acidovorax avenae / フラジェリン / マイクロアレイ / 抵抗反応 |
研究概要 |
疎水性膜に接触したうどんこ病菌胞子が、直後に細胞外物質(ECM)を分泌することは1999年に我々のグループによって明らかにされていた。本研究では3種のうどんこ病菌胞子が宿主接触直後にECMを分泌することを細胞学的に確認した。ECMは宿主付着と発芽管突出方向の決定に鍵を握る。免疫電顕・共焦点顕微鏡によって胞子付着後30分以内にECMを介して胞子-宿主細胞間で双方向に物質が移動することを確認した。また、非病原性うどんこ病菌のECMに接触した細胞には拒否性が誘導されるが、病原性うどんこ病菌ECMに接触しても拒否性・受容性は誘導されないことを明らかにした。これらの結果は、植物細胞が胞子接触1時間以内に病原菌・非病原菌を識別すること、非病原菌に接触した細胞では6-7時間以内に拒否性が誘導されること、胞子付着とほぼ同時に接触面でシグナル伝達と宿主細胞の応答が開始されることを示す重要な知見である。Acidovorax avenaeの菌株間における宿主特異性決定に鞭毛タンパク質フラジェリンがどのように関与するのかを調べた。その結果、精製した非親和性N1141株のフラジェリンは、活性酸素の発生や過敏感細胞死を誘導するが、親和性菌株のフラジェリンはこの様な抵抗性反応を誘導しなかった。そこで、フラジェリン認識シグナルの下流に存在する遺伝子群の網羅的解析のため、イネ培養細胞から構築したマイクロアレイを用いて解析をしたところ、イネの抵抗性反応誘導に関与する遺伝子のうち、約40%だけがフラジェリン認識シグナルの下流に存在することを明らかにした。また、A.avenaeのフラジェリン分子間に認められる認識特異性決定機構についても調べたところ、この様な特異性には両フラジェリシのアミノ酸配列の相違ではなく、糖鎖修飾の違いが関与することを初めて明らかにした。
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