研究課題/領域番号 |
12052215
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
眞山 滋志 神戸大学, 農学部, 教授 (00112251)
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研究分担者 |
秋光 和也 香川大学, 農学部, 助教授 (80263888)
朴 杓允 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (20147094)
一瀬 勇規 岡山大学, 農学部, 教授 (50213004)
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キーワード | アポトーシス / プログラム細胞死 / 過敏感細胞死 / 感染応答 / シグナル伝達 |
研究概要 |
本年度の研究成果の主要なものは下記の通りである。 1)In vitro系を用いたエンバクアポトーシス機構の解析 単離細胞核を用いたin vitroアポトーシス系を用いて、エンバク核DNAのラダー化を誘導する因子を探索した。ラダー化を誘導する細胞質抽出画分を熱処理するとその誘導能は消失した。また、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤もラダー化誘導能を阻害した。また興味深いことに、アポトーシスを誘導したニワトリのBリンパ細胞からの抽出液が、エンバク核DNAのラダー化を誘導することが明らかとなった。これらの結果は、動・植物を通じてDNAラダー化機構が広く保存されていることを示唆している。 2)蛍光ビクトリンを用いたビクトリンの作用機作の解析 エンバクにアポトーシス様細胞死を引き起こす植物毒素ビクトリンにFITCを結合させ、コンフォーカル顕微鏡等を用いてその挙動を観察した。ビクトリン感受性・非感受性のエンバク品種にこれを作用させた所、処理後5分には両品種共に蛍光ビクトリンは細胞壁を中心に分布したが、1時間後には感受性の品種のみで細胞質に広くビクトリンと考えられる蛍光が存在するようになった。さらに5時間後には感受性品種における蛍光はミトコンドリアと想定される細胞器官に集積した。この結果はビクトリンの細胞壁・細胞膜透過性が同毒素へのエンバクの感受性を支配することを示唆している。 3)アポトーシス様の死細胞で発生するROSとそれに近接する細胞死の関係 これまでに菌の侵入を受けたHR細胞だけでなく、それに隣接する細胞もアポトーシス様の細胞死を起こすことを報告したが、これらの死に対するNOやROSの役割を薬理学的に調査した。その結果、NOやROSの消去剤はさび菌の侵入を受けたHR細胞で起こるアポトーシス様の細胞死には大きな影響を与えなかったが、隣接細胞での細胞死を抑制した。これは、NOやROSがHR細胞から隣接細胞への「死のシグナル」として働いている可能性を示している。
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