研究課題/領域番号 |
12052222
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥野 哲郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (00221151)
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研究分担者 |
渡辺 雄一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究所, 助教授 (60183125)
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キーワード | トバモウイルス / 植物RNAウイルス / 抵抗性 / 過敏感反応 / 移行タンパク質 / RNA複製 / 細胞間移行 / ジーンサイレンシング |
研究概要 |
研究代表者は、Capsicum属植物のもつL3抵抗性遺伝子による壊死病斑形成(HR誘導)を促進あるいは遅延させるPMMoV-外被タンパク質(CP)のアミノ酸変異とCP立体構造上でのそれらの位置を明らかにした。そして、L3遺伝子によるウイルス抵抗性の遺伝子ドーセッジ、温度による影響を調べ、ウイルスの挙動、抵抗性およびHRの相互関係を解析できる系を構築した。また、HR関連遺伝子であるhsr203Jとhin1のホモローグphsr203とSNN-hin1をそれぞれCapsicum属植物とサムソンNNタバコから単離した。いずれの遺伝子も、Capsicum属植物におけるHR誘導と相関して発現することを明らかにした。これらにより、ジーンサイレンシングなどの手法を用い抵抗性とHRに関連する新たな遺伝子をCapsicum属植物から得るための実験材料の準備ができた。一方、宿主域をことにするトバモウイルスの研究から、宿主域の決定には、ウイルスの複製酵素、移行タンパク質(MP)、CPの複雑な相互作用が関与していることを明らかにし、トバモウイルス複製・移行における新たな機構の存在を示唆した。 研究分担者は、TMVのMPをGFP遺伝子と融合させ、MPの蓄積と感染後の挙動の観察を行った。宿主植物の感染では、感染後しばらくはMP自体の蓄積が放射状にひろがっていき、それによって子孫ウイルスが移行していくこと、一方、N遺伝子が関与する場合は、感染後70時間ほどでMPの蓄積の広がりが止まり、さらには蓄積をしていたMPも減少することを確認した。この現象はN遺伝子の機能する状況のみに特異的にみられた。抵抗性反応がMPを的としている可能性が示された。N遺伝子を形質転換によって導入したタバコでも上記の現象を確認した。N遺伝子をもたないタバコも、その下流のカスケードを持ち合わせていることが示された。形質転換体によっては、最終的にウイルス感染拡大を抑えられない植物体もとれた。こうした現象も視野にいれながら、抵抗性反応の詳細の解析を続行する。
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