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2002 年度 実績報告書

生体内物質によるシナプス可塑性および記憶・学習行動の調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 12053213
研究機関東京大学

研究代表者

松木 則夫  東京大学, 薬学系研究科, 教授 (70126168)

キーワード記憶・学習 / シナプス可塑性 / 長期増強 / 海馬CA3野 / 亜鉛 / NMDA型受容体 / ヘテロシナプス長期増強 / 扁桃体
研究概要

本研究は、(1)細胞レベルのシナプス可塑性と個体レベルでの記憶・学習行動の相関を解析すること、(2)解析ツールとして内因性の生理活性物質などを用いることを目的とする。脳弓海馬采を切断した動物や正常動物において空間学習遂行能力と貫通線維→歯状回での長期抑圧がよく相関することを個々の動物において示した。つまり、脳高次機能発揮には既に明らかにした増強方向の可塑性だけでなく、抑制方向の可塑性も必須であることを示した。次に、扁桃体の役割を解析し、扁桃体基底外側核刺激により歯状回のシナプス可塑性が影響されることを示し、基礎的データを得た。今後は神経回路網として、扁桃体各部位と海馬各部位の関連を解析していく予定である。CA3野は他の部位と異なる性質が多く、その役割は不明な点が多かった。まず、歯状回からCA3野に投射する苔状線維に多く含まれる亜鉛の役割を亜鉛インディケーターにより解析した。その結果、苔状線維からグルタミン酸とともに遊離した亜鉛が時空間的に拡散していく様子を初めて示すことができた。CA3野へは歯状回よりも嗅内野皮質からの直接投射がはるかに多いにもかかわらず、性質解明は遅れていた。我々はこのシナプスを単離して解析することに成功し、NMDA型受容体を介するシナプス可塑性を明らかにした。さらに、苔状線維はNMDA型受容体を介してヘテロシナプス的に可塑性を誘導させることを示した。従って、CA3野に於いてもNMDA型受容体の重要性を示すことができた。今後は反回性シナプスの役割を中陰に解析する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kim et al.: "Mossy Fiber Pathfinding in Multilayer Organotypic Cultures of Rat Hippocampal Slices"Neuroscience. 113. 253-256 (2002)

  • [文献書誌] Ueno et al.: "Mossy fiber Zn^<2+> spillover modulates heterosynaptic N-methyl-D-aspartate receptor activity in hippocampal CA3 circuits"J.Cell Biol.. 158. 215-220 (2002)

  • [文献書誌] Koyama et al.: "Group II metabotropic glutamate receptor activation is required for normal hippocampal mossy fibre development in the rat"J.Physiol.(Lond.). 539. 157-162 (2002)

  • [文献書誌] Ikegaya et al.: "Rapid regrowth of hippocampal mossy fibres and preceding maturation of NMDA receptor-mediated neurotransmission"Eur.J.Neurosci.. 15. 1859-1862 (2002)

  • [文献書誌] Yamada et al.: "Brain-derived neurotrophic factor promotes the maturation of GABAergic mechanisms in cultured hippocampal neurons"J.Neuroscience. 22. 7580-7585 (2002)

  • [文献書誌] Tsukamoto et al.: "Mossy fibre synaptic NMDA receptors trigger non-Hebbian long-term potentiation at entorhino-CA3 synapses in the rat"J.Physiol.(Lond.). 546. 665-675 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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