研究概要 |
これまでCREB転写活性を修飾する脳特異的キナーゼ遺伝子CLICK-I,-II,-IIIを単離してきたが、その機能解析を次のように行っている。 1.個体レベルの解析:遺伝子欠損マウスの作成 CLICK-I,-II,-IIIのキナーゼ領域を欠損するマウスの作成のため、ES細胞において、相同遺伝子組み換えによるキナーゼ含有エキソンの破壊を行った。CLICK-IIIについては、キメラマウスを作成し、現在germline transmissionの確認中である。 2.キナーゼ変異体を用いた細胞レベルの解析 CLICK-I,-II,-IIIのキナーゼ変異体(dominant active型、kinase dead型)の表現型を、初代培養海馬錐体細胞、海馬スライスカルチャーに導入し、定量的表現型解析を現在実行中である。 またCREB標的遺伝子産物Arcに着目して神経細胞内動態の可視化を試みた。可塑性刺激様なカルシウム上昇を伴う刺激を付与した後、新規蛋白合成依存的にArcの樹状突起スパイン内発現が60〜120分以内に上昇することを発見した。また、Arcと結合する蛋白のスクリーニングよりPSD内結合蛋白を同定した。引き続き、ランダムCFP/YFP挿入法を用い、Arcとその結合蛋白の各々について、結合能を損なわないFRET対を作成・最適化し、神経細胞に遺伝子導入したところ、生きた神経細胞においてもスパイン内で、Arcとその結合蛋白の間のFRETが確認された。
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