研究課題/領域番号 |
12053255
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小坂 俊夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00126054)
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研究分担者 |
神野 尚三 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10325524)
福田 孝一 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50253414)
秋鹿 祐輔 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50021415)
小坂 克子 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (60202058)
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キーワード | 大脳皮質 / 海馬 / 嗅覚 / GABA / 介在ニューロン / シナプス / レーザー顕微鏡 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
広義の大脳皮質を構成するニューロン群、主に、GABニューロンサブポピュレーションの化学的、形態学的性質の解析、定量解析を進めた。海馬・新皮質においてはGABAニューロン群の特徴あるサブポピュレーションであるparvalbumin(PV)含有GABAニューロン相互の関係について研究を進めた。PVニューロンは錐体細胞の主として細胞体・軸策初節部に抑制性シナプスを作り、活動電位の発生を直接調節すると考えられている。PVニューロンはまた、互いの細胞体の上にも密にシナプスを形成することで介在ニューロンの相互抑制回路を形成する。 PVニューロン樹状突起はお互いに非常に密に接触し、樹状突起ネットワークとも言うべき構造を作っていた。電子顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を用いた検討で、この樹状突起ネットワークがgap junctionを介してつながっていることを明らかにした。 一方、嗅球においては、機能単位である糸球体の介在ニューロンを中心にニューロンの形態的特徴、相互の線維結合、シナプス結合、更に、化学的側面等から、主に,ラットにおいて解析した。これまで従来単一のものと考えられてきた糸球体介在ニューロンが、多様でありしかも大きく2グループに分れることを発見し、特に嗅入力を直接受ける介在ニューロンと受けないグループ(それぞれタイプ1、タイプ2傍糸球体細胞と名づけている)が存在していることを報告してきた。本年度は、シナプス結合の解析を進め、タイプ1タイプ2それぞれがフィードフォワード、フィードバック的に働くことを示唆した。 また、光学顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、電子顕微鏡観察を行い、糸球体における投射ニューロン樹状突起上に嗅神経とタイプ2介在ニューロン突起とがモザイク状に分布しシナプス結合していること、嗅神経終末は決して従来いわれているように細い樹状突起先端部にのみ分布しているのではなく、太い近位部にもシナプス結合していた。このように糸球体内のニューロン相互関係は極めて複雑であることが明らかになり始めた。
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