研究概要 |
広義の大脳皮質である海馬と嗅球を構成するニューロン群の定量解析及びニューロン相互関係の解析を進めた。マウス海馬においては、前年度のGABAニューロン群サブポピュレーションであるカルシウム結合蛋白含有ニューロンの定量解析に引き続き、別のサブポピュレーション群、ペプチド含有GABAニューロン、CCK,VIP,somatostatin,neuropeptide Y含有ニューロンについて、optical disector法による定量解析を進め、完了した。これらの解析により、マウス海馬においてGABAニューロン群の構成がほぼ明らかになった。また、マウスではgranule cell,mossy cell等の主ニューロン軸索終末にCCKが著明に存在していることがラットとは大きく異なることが明らかとなり、更に、マウス海馬での背腹方向でのCCK分布の差異等その解析を進めた。一方、嗅球においては、2点について検討を進めた。第1は、いくつかの動物種でニューロン構成を検討し、1型、2型の2種の傍糸球体細胞が普遍的に存在することを示した。第2は、ギャップ結合であり、遺伝子改変マウスを用いるためマウス嗅球での解析を開始した。Connexin36の発現を、reporter gene(β-galactosidase)を挿入したマウスで検討したところmitral/tufted cell、糸球体周辺部及び顆粒細胞層の介在ニューロンに発現が見られ構造としてみられるギャップ結合と比較的よく対応していた。電子顕微鏡連続切片法での解析ではラット同様主ニューロンであるmitral/tufted cellと介在ニューロンの樹状突起間にギャップ結合が見られたが、更なる解析で生理的に示唆されている主ニューロン間のギャップ結合の可能性も検討している。
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