研究課題/領域番号 |
12053260
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金子 章道 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051491)
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研究分担者 |
小泉 周 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10296551)
渡辺 修一 埼玉医科大学, 教授 (60138120)
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キーワード | アマクリン細胞 / 活動電位 / 樹状突起 / Action Potential Clamp / GABA / Na電流 / 網膜 |
研究概要 |
網膜アマクリン細胞は軸索を持たない介在ニューロンであり、樹状突起でシナプス入力を受けるとともに、同じ樹状突起がシナプス出力を行う。これまでの研究によってアマクリン細胞は活動電位を発生すること、活動電位はアマクリン細胞の伝達物質放出を増大することが見出されている。しかし、活動電位の発生部位や、発生した活動電位の樹状突起への伝播については明らかになっていない。アマクリン細胞の多くはGABA作動性の抑制ニューロンである。したがって、活動電位の樹状突起への伝播様式を明らかにすることは、アマクリン細胞が周辺細胞に及ぼす側抑制を知る上で重要である。本研究では、ラット培養アマクリン細胞の細胞体と樹状突起に同時パッチクランプ法を適用し、樹状突起への活動電位の伝播様式とそれに対するGABAの修飾を調べた。 細胞体から樹状突起への活動電位の伝導様式を明らかにするため、細胞体で記録された活動電位波形を用いて細胞体を電位固定(Action Potential Clamp)し、樹状突起の電位変化を記録した。樹状突起で記録される活動電位の波形はTTXを投与すると振幅が大幅に減少した。このことから、樹状突起への活動電位の伝導には、電位依存性Na電流による自己再生的な過程が関与していることが明らかになった。樹状突起への活動電位の伝導は樹状突起に電流注入を行って膜電位を変化させると修飾を受けた。さらに、細胞体をAction Potential Clampし、その際に記録している樹状突起へGABAを投与したところ、活動電位の閾値が上昇し、振幅が減少した。GABAによる影響は、同時に樹状突起に正の電流注入を行うことで回復した。これらの結果から、アマクリン細胞樹状突起への活動電位の伝導は、電位依存性Na電流を介した自己再生的な過程によるものであること、樹状突起へのGABAのシナプス入力によって活動電位の伝導が修飾されることが明らかになった。
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