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2000 年度 実績報告書

嗅覚の神経回路形成の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 12053264
研究種目

特定領域研究(A)

研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

平田 たつみ  国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教授 (80260587)

キーワード嗅索 / lot細胞 / 細胞移動 / 神経発生 / 新皮質 / 領域形成
研究概要

マウス嗅球からの軸索は、終脳外側の狭い領域を尾側に伸長し、嗅索と呼ばれる軸索の束を形成する。我々の作製したモノクローナル抗体lot1が認識する神経細胞(lot細胞)は、嗅球から軸索が伸長し始めるより前から、将来この軸索が伸長することになる経路にわたって細胞の帯を作って配列し、嗅球軸索をこの経路へとガイドする。したがってlot細胞が終脳における嗅索の位置を決定していると考えられるが、なぜこの細胞が予定嗅索領域に配列するのかについては謎であった。そこで本年度は、様々な培養法を用いてlot細胞が終脳のどこで発生し、どのようにして嗅索領域に局在するようになるのかを解析した。
lot細胞が最終分裂を行っているE10.5の終脳を様々な領域に分割して分散細胞培養し、lot細胞が終脳のどの領域から分化してくるのかを検討した。この時期の終脳は、遺伝子発現の様式の違いから、背側の新皮質と腹側の神経節隆起との2つの区画に分けることができる。lot細胞はそのうち新皮質の細胞を培養したときにのみ分化し、神経節隆起を培養しても分化してこなかった。また終脳新皮質の中では、どこの部位からもまんべんなく分化してきた。実際の生体内でlot細胞が新皮質全体で発生してくるとすれば、これらの細胞はかなりの距離にわたって終脳半球を腹側方向に移動しなければならない。しかしこれまでにこのような細胞移動の報告はない。そこで、マウス全胚培養法を用いて、この時期の終脳における細胞移動を解析した。その結果、実際に終脳新皮質全体で生まれた細胞が腹側方向に移動し、予定嗅索領域に配列する事が確かめられた。以上の結果を総合すると、生体内でlot細胞は終脳新皮質全体で発生し予定嗅索領域まで移動するという興味深い発生過程をたどると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Tomioka et al.: "Neocortical origin and tangential migration of guidepost neurons in the lateral olfactory tract"J.Neurosci.. 20. 5802-5812 (2000)

  • [文献書誌] T.Hirata et al.: "Short-range guidance of olfactory bulb axons is independent of repulsive factor slit."J.Neurosci. (in press). (2001)

  • [文献書誌] 平田たつみ: "終脳における神経細胞の移動と領域特異化"細胞工学. (印刷中). (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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