研究課題/領域番号 |
12053278
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
山形 要人 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
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研究分担者 |
田中 秀和 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70273638)
杉浦 弘子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40162870)
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キーワード | 神経活動 / 細胞接着分子 / N-カドヘリン / シナプス / エンドサイトーシス |
研究概要 |
神経活動によるシナプス修飾の分子機構を明らかにするため、ラットの海馬から神経活動依存的に発現する遺伝子を単離した。この可塑性遺伝子産物の一つであるプロトカドヘリンArcadlin (Activity-regulated cadherin-like protein)は、神経活動によって誘導される。今年度は、Arcadlinに関して以下の解析を行った。 1)ArcadlinがGAD65ではなく、PSD95やNR1 subunitと共存することから、興奮性シナプスに局在することと予想される。さらに、免疫電顕法を用いて、Arcadlinがシナプス前後膜、しかもactive zoneおよびadherens junctionに局在することを明らかにした。 2)Arcadlinの細胞内領域と相互作用するキナーゼTA02を単離している。Arcadlinが細胞外で同種結合することによって細胞内のp38 MAP kinase系が活性化され、Arcadlinが細胞内へ移行することも明らかにした。 3)ArcadlinはN-cadherinとシスに結合するという所見を得ている。そこで、arcadlinとN-cadherinを培養6日目のラット海馬初代培養ニューロンに導入し、樹状突起を観察した。培養11日目ではfilopodiaの数がN-cadherinだけを導入したニューロンに比べて明らかに減少しており、N-cadherinがArcadlinと共に樹状突起内に溜まっている像が観察された。さらに、培養17日目ではN-cadherinとarcadlinを共発現させたニューロンのspine数が減少しており、逆にarcadlin KOマウスのニューロンではspine数が野生型に比べて増加していた。 以上の結果から、「神経活動によって一過性に誘導されたArcadlinは、興奮性シナプスにおいてN-cadherinとシスに結合する。そして、Arcadlinが同種結合することによって両分子がエンドサイトーシスされ、膜表面のN-cadherin分子が減少するためにシナプスの可塑的変化が生じる」という仮説が考えられる。
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