研究課題/領域番号 |
12061101
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
上野 直人 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 教授 (40221105)
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研究分担者 |
八杉 貞夫 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70011591)
野地 澄晴 徳島大学, 工学部, 教授 (40156211)
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キーワード | 初期発生 / 器官形成 / 再生 / 形態形成 / 細胞間相互作用 / シグナル伝達 / 幹細胞 / 進化 |
研究概要 |
計画研究の4年目を迎え、本特定領域研究開始時に着手した研究の成果がまとまりつつある。とくに、本特定領域の強調すべきキーワードのひとつ「系統的・網羅的視点」を実現するための基盤整備が充実してきた。昨年から引き続き、アフリカツメガエル(A01)、コオロギ(A03)、ヒメツリガネゴケ(A03)などのモデル動植物のデータベース構築など、ホヤゲノムの解読などについても、その収集した情報量の点で格段に充実しつつある。また、これらの遺伝子リソースが研究者に配布されるしくみも構築されリソースの共有にも尽力している。本年の研究発展の大きな進歩は、それら基盤の構築によって可能になった、「系統的・網羅的アプローチ」が初期発生現象、器官形成・再生、進化という本特定がカバーするすべての領域で有効に実施され、遺伝子の機能解析、生物現象の解明に結びつきつつあることである。遺伝子情報の整備に加え、遺伝子の過剰発現、機能欠損などによる機能解析を、発生生物学研究に用いられる様々なモデル生物を駆使し、限られた遺伝子ではなくゲノム規模で実施することが可能となったことは、生物学に大きな変革をもたらしている。例えば、計画班員小林悟らが、GFPで標識した生殖細胞をセルソーターで分離し、得ることができた生殖細胞特異的に発現する数十の遺伝子については、RNAi(RNA干渉法)などによる網羅的機能解析の段階へと移行しつつある。また、本年度は形態進化のメカニズムについて顕著な成果が得られ、計画班員(A03)の倉谷滋らは顎を持たないヤツメウナギにも、顎を作るための基本的な発生機構が共有されていることを明らかにした(Natureに発表)したほか、同じく計画班員(A03)の長谷部光泰らは花形成に必要なホメオティックセレクター遺伝子(MADS-box遺伝子と呼ばれる転写因子)が花の咲かない植物、ジャジクモ藻類にも存在し、同遺伝子はこれらの藻類では卵精子形成に関わっているらしいことを明らかにした(PNAS,USAに発表)。
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