研究課題
「発生システムのダイナミクス」における班員の、体軸の決定、胚葉の組織パターン形成、器官形成などの諸現象に関わる分子レベルでの詳細な研究から、発生システムを構築する遺伝子群は発生過程あるいは再生過程においても繰り返し用いられていることが実証されてきた。また、さまざまな動植物種を用いた比較発生学研究によって、「発生システム」は種をも超えて保存されていることも明らかにされ、システム自身が生物の進化とともに永続的に変化、適応してきたことを強く示唆することができた。すなわち、本特定領域研究によって「発生システム」の進化そのものが生物の多様性獲得の原動力となっていることを示すことができたと考えている。本特定領域研究では遺伝子群自身の存在はすでに明らかにされたものとし、時系列における発生制御遺伝子の活性化パターンの解析から、異なる遺伝子カスケード間のクロストーク、フィードバック制御など、発生現象を制御する複雑なシステムをより大局的にとらえ未知の発生原理に迫ることを試みた。また、それぞれのレベルで質の高い研究を生み出すことができた。本特定領域研究の終了にあたり、比較的若手の班員のなかからとくに優れた研究成果を挙げたものを選び、約50人の参加者による合宿形式で、成果発表、討論を行うことにより、初期発生、再生、器官形成、進化の観点から21世紀の生物学に残された課題は何か討論するとともに、将来の発生生物学を展望するための会議を行った。会議は若手班員が成果発表し、シニア研究者が議論を誘導するという形式で行われた。合宿形式ということもあって、会議終了後、参加者の一部では、夜中まで討論が続くという極めて有意義な集まりとなった。
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