研究分担者 |
須賀 晃一 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (00171116)
長谷川 晃 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90164813)
堀 元 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90004209)
森村 進 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40134431)
蓼沼 宏一 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50227112)
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研究概要 |
世代間衡平性の経済学と倫理学は,充分な理論的検討が行われているとはいえない現状にある。特に,地球温暖化問題のように超長期にわたる外部効果を視野に収めるときには,伝統的な経済学と倫理学の射程距離の限定性は否応なく明らかになる。この研究は厚生経済学と社会的選択の理論の研究者,法哲学・経済哲学の研究者の共同討議によって,世代間衡平性の経済学と倫理学を大きく前進させることを意図している。初年度に引き続いて今年度もアメリカ,カナダ,ドイツの専門研究者を招聘して国際シンポジウムを開催することを通じて,この課題を巡る国際共同研究のネットワークを拡大することに努めた。招聘研究者はシカゴ大学のマーサ・ヌスバウム教授(政治哲学),ニューヨーク大学のデブラジ・レイ教授(経済発展論と厚生経済学),モントリオール大学のウオルター・ボッサール教授とイープ・スプルモン教授(厚生経済学と社会的選択の理論),ビーレフェルト大学のフォルカー・べーム教授(経済動学)など多彩なメンバーであって,研究上の交流はすでに数多くのDiscussion Paperに結実しつつある。国内の研究者との交流の機会と頻度も増しつつあって,このプロジェクトの完了後も国際的・国内的な研究ネットワークはこの分野における経済学的・倫理学的な研究のインフラストラクチャーとして機能することが期待される。これまでの研究成果のうちには,帰結主義的アプローチと非帰結主義的アプローチの公理化,潜在能力理論に依拠する福祉改革の構想,非パターナリステックな愛他主義と効用の相互依存性の経済分析,効率と衡平のディレンマを解決する新しい理論的展開,社会的選択の理論に立脚した公私問題への新たなアプローチなど,経済学と倫理学との深く緊密な研究交流を踏まえて初めて可能になった成果が含まれている。
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