研究課題/領域番号 |
12123204
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
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研究分担者 |
渡辺 努 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (90313444)
北村 行伸 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (70313442)
安田 聖 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70115955)
宇野 富美子 東洋英和女学院大学, 社会科学部, 教授 (20017669)
小塩 隆士 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50268132)
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キーワード | 公的年金 / 私的年金 / 二重の負担 / 掛金建て / 給付建て / 末積立の年金債務 / 私的貯蓄との代替 / 年金目的消費税 |
研究概要 |
本年度における研究実績の概要は次のとおりである。 1.日本の厚生年金給付をさらに若干ながらスリム化する一方、基礎年金の財源を年金目的の消費税に切りかえる場合、ビーク時の厚生年金保険料は現行の17.35パーセントよりも高くならない。そうすると、損得勘定に基づく若者の年金不信はかなりの程度まで取り除くことができるだろう。 2.基礎年金の財源を切りかえる時点において厚生年金の保険料を4%引き下げることができる。その分を掛金建て私的年金の購入に充当すると、私的貯蓄の代替(老後の貯蓄への集中)が広範囲に生じ、結果的に「二重の負担」を回避することがかなりの程度まで可能となるだろう。 3.イギリス・ドイツ・スウェーデンでも公的年金の給付をスリムにする一方、掛金建て私的年金への加入を積極的に奨励している。そのさいイギリスでは掛金建て私的年金(ステークホールダー年金)のハンドリングコストを年金積立金の1%以下に抑えるよう規制した。またドイツでは連邦政府が掛金建て私的年金にマッチング拠出をする制度を考案中である。スウェーデンでは掛金建て私的年金への加入を強制した(掛金率は2.5%)。 4.掛金建ての企業年金は投資リスクを従業員に負担させる制度であると考えられているが、実際には労使交渉の中で元本保証や最低利回り保証を事業主の責任においてするケースが少なくない。 5.他方、給付建て企業年金における未積立の年金債務は全額、事業主の責任において償却することになっている。ただ、その償却の過程でボーナスや月給がカットされたり雇用リストラが強化されたりする場合が多く、実際には従業員本人も給付建て制度のリスクを一部負担している。
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