研究課題/領域番号 |
12124204
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 正寛 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40114988)
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研究分担者 |
土居 丈朗 財務省, 財務総合政策研究所, 主任研究官 (60302783)
井堀 利宏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40145652)
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キーワード | 地方財政 / 国と地方の財政関係 / 地方税 / 地方交付税 / 地方債 / 地方分権 / 公会計 / 予算制度 |
研究概要 |
本研究において、本年度は、前年度に引き続き地方財政改革に関する分析と、公会計改革、予算制度改革に関する経済学的考察を行った。地方財政改革に関しては、政府の「三位一体改革」と異なる「四」位一体改革を分析結果から導いた。地方歳入の主な項目は、地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債があり、これらで歳入の大半を占めている。また、これらはそれぞれに強い国の関与があって、中央集権的な制度となっている。そうした観点から、地方分権改革は、地方税、地方交付税、国庫支出金だけでなく、地方債をも含めて「四」位一体で改革する必要性を示した。特に、「三位一体改革」は、三位一体化された帳尻合わせに過ぎず、目的と手段にも混乱が見られる。地方財政の現状は、国の大きな関与の下に、補助金のみならず政策の企画立案等に至るまで、地方自治体が国に過度に依存する状態に陥り、国も地方も巨額の債務を抱える結果となった。これを根源的に改めるには、公共部門のガバナンス改革(国と地方の役割分担の見直し)を通じた「分権化」によって、水平的政府間競争が地方政府を規律づけ、地域のニーズに即しつつ、効率的な財政運営を促すことが望ましいことを、この分析によって示した。 もう1つの公会計・予算制度改革に関しては、今後望まれる公会計・予算改革の方向性について、実行可能性をも鑑み、その手順を具体的に考察した。この考察から、時系列的な順番として、(1)発生主義決算の法定化、(2)公会計改革の適用範囲の確定、(3)行政評価手法の確定、(4)予算区分の再編、(5)財政運営ルールの厳格適用、(6)予算段階での複式簿記会計処理の導入、(7)予算と決算・行政評価の関連付けの明確化という手順で改革が行われるのが望ましいことを示した。
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