研究概要 |
本年度はデータの整備や、研究体制の構築のための作業を中心に計画を推進した。 第一に、公的教育と企業内訓練に関する事前調査を昨年10月からオーストラリア、タイ、フィリピンにおいて行った。オーストラリアに関しては、同国政府の調査による大規模なパネルデータを利用して研究を進めるための準備を行い、またタイとフィリピンについては、この調査に基づき、13年度7-8月に本調査を予定している。 第二に、社会保障制度の存在(すなわち社会保険料拠出と社会保障給付)が、所得分配の不平等に与える効果に関して、その分析手法の研究を開始した。特に、不平等度の計測方法に関して、その方法を修得・吟味することに努力を重ねた。 班全体で使用するデータベースの構築作業も進めた。まず,岩本が以前に作成した『国民生活基礎調査』を用いた疑似パネルデータのコード表とマニュアルを整備し,第三者の研究者が利用できる体制を整えた。この疑似パネルデータの概要をホームページで公開した。このデータを利用して,家計単位の所得分配と個人単位の所得分配の差異を検討する研究プロジェクトを開始し,予備的考察をおこなっている途上である。また「所得再分配調査」の吟味を詳細に行うと共に、データの収集に努めた。さらに,マクロ経済,企業財務,金融経済,家計資産に関係するデータベースを購入し,共同研究者がネットワークを介して使用できる環境の構築作業をした。この作業は来年度も継続しておこなわれる。
|