研究課題/領域番号 |
12124207
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
HORIOKA C.Y. 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90173632)
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研究分担者 |
小川 一夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90160746)
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
齊藤 誠 一橋大学, 経済学研究科, 教授 (10273426)
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キーワード | 家計行動 / 消費 / 貯蓄 / 設備投資 / 雇用調整 / 所得分配 / 日本経済 / 不況 |
研究概要 |
本研究では、様々な観点から、1990年代における日本経済の長期にわたる停滞(いわゆる「失われた10年」)の原因および結果について吟味している。 例えば、Charles Yuji Horiokaの"The Causes of Japan's‘Lost Decade'"と題する論文では、日本の失われた10年の原因について吟味し、その主たる原因は投資(特に民間の固定資本形成)の落ち込みであり、政府・民間の最終消費支出および純輸出はむしろ景気を下支えしたという結果を得ている。また、需要側の要因、供給側の要因を比較すると、需要側の要因のほうが重要であり、経済政策(財政政策、金融政策、不良債権対策)のタイミング、規模、中身にも問題があり、長引く不況に大きく貢献したと結論付けている。 小川一夫氏の一連の研究では、1990年代における金融制度の崩壊(企業部門の巨額な負債とそれに関連した金融部門の巨額な不良債権)の実体経済に与えた影響について吟味し、企業の設備投資の停滞のみならず、企業の雇用調整にも大きく影響したという結果を得ている。 それに対し、齊藤誠氏らは設備投資の決定要因について吟味し、1990年代の設備投資の低下の原因として、流動姓制約の存在(キャッシュ・フローの不足)よりは、トービンのqの低下(つまり、収益性の高い投資機会の減少)が重要だったという結果を得ている。 最後に、大竹文雄氏の一連の研究では、日本の所得分配の長期的傾向の影響について吟味し、所得分配の不平等化は主に人口の高齢化によるものであり、日本経済の長期にわたる停滞は家計部門全体における所得分配にそれほど悪影響を及ぼさなかったという結果を得ている。しかし、大竹氏はフリーター・失業者の増加によって若年層における所得格差は悪化させたということを示し、この問題を解消するために若年者の教育訓練が必要であると論じている。
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