研究概要 |
乱流要素渦の理解と工学的応用としての乱れ制御を研究目標とし,大規模な直接数値シミュレーションと高度な画像処理計測を実施するとともに,独自のデバイスによる検証実験に着手した。「要素渦群の構造と乱れの研究」(三宅)は,壁乱流の大規模な直接数値計算により,壁近傍場が遠方場の乱れに無関係な普遍的性質をもっこと,遠方場は大規模なストリーク構造で特徴づけられることを明らかにし,高レイノルズ数乱流では壁面操作による制御には限界があることを指摘した。「熱物質輸送を伴う乱流要素渦の諸特性の解明」(宮内)では,基本的な3つの乱流場(一様等方性乱流,乱流混合層,平行平板間乱流)に対して高レイノルズ数の直接数値計算を行った結果,個々の乱流要素渦のレイノルズ数依存性は比較的弱いが,高レイノルズ数では要素渦がクラスターを形成することが明らかになった。「剪断乱流とスカラー輸送の知的制御」(笠木)では,最適制御理論,遺伝的アルゴリズムによる制御則,および乱流準秩序構造のダイナミクスに基づくフィードバック則を通じて,壁乱流に適用可能な制御規範の定式化と直接数値シミュレーションを用いた制御効果の評価,ならびにマイクロマシン技術を応用して制御デバイス(センサおよびアクチュエータ)の試作研究を行った。「抵抗削減された壁乱流における要素渦の解析」(梶島)では,長鎖状ポリマーを模擬する球・バネ系のマクロ要素モデルについて,パラメーターを調整して抵抗削減効果を評価する予備計算を実施した。以上,本年度は分担者間で連携しつつ,既存データの解析とともに,コード開発ならびに測定装置や制御装置の構築を行った。
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