研究課題/領域番号 |
12128201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
楠 勲 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30025390)
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研究分担者 |
佐々木 正洋 筑波大学, 物理工学系, 講師 (80282333)
山本 恵彦 筑波大学, 物理工学系, 教授 (60251039)
高岡 毅 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90261479)
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キーワード | 表面 / 分子凝集体 / 赤外分光法 / 超音速分子線 / 低速電子回折 / 原子線散乱法 / ニッケル / 白金 |
研究概要 |
分子凝集体表面は、自然界で起こる様々な現象と深いかかわりがあり、様々な原子・分子との相互作用を理解することは広く自然現象を理解し、さらに新しい反応経路を見出すことにつながる。とくに分子凝集体表面に原子・分子が衝突したときのエネルギー移動の理解は、分子凝集体表面における物質合成等と直接関連しており、非常に興味深い。我々は、水分子凝集体表面におけるアンモニア分子の吸着および内部への拡散過程を赤外分光法(FTIR)、昇温脱離分光(TDS)を用いて観測した。 Pt(111)表面上に水分子を4層から10層程度成長させた水分子凝集体表面にアンモニア分子を供給すると、アンモニアは水分子凝集体表面の水素原子と水素結合することによって吸着する。この表面を加熱するとアンモニア分子の一部は、水分子凝集体内部を拡散してPt(111)表面に到達する。アンモニア分子がPt(111)表面に到達していることはPt(111)表面に吸着したアンモニア分子に特有の振動スペクトルから判断できる。また、TDS測定により残りの分子が表面から脱離することがわかる。Pt(111)表面に到達したアンモニア分子の数は水分子凝集体の膜厚が大きいほど少なく、また加熱温度が高いほど多いことがわかった。また、分子凝縮体表面へのエネルギー移動のダイナミクスを理解するため、Cs原子層吸着Pt(111)表面において超音速CH_4分子の散乱過程(付着確率、散乱角度分布、散乱速度分布)を計測した。その結果、Cs吸着によってCH_4分子の衝突解離が大きく抑制されることがわかった。これは、仕事関数の低下によりCH_4分子の感じる反発ポテンシャルが表面外側に延びるためであると解釈される。さらに、走査トンネル顕微鏡を用いて、同表面上のCs吸着位置で局所的に状態密度の減衰係数が大きく減少することを見いだした。
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