研究概要 |
本年度は,Si(100)(2x1)表面の配向分子に関しては、1,4シクロヘキサジエンの分子間相互作用をSTMを用いて詳細に検討した.同じ向きにダイマーサイトに一つとびに吸着した場合は,分子間の斥力を感じることなく吸着する.2個の分子が最近接サイトに同じ向きに傾いて吸着する場合はお互いに反発しあい、分子の高さに上下が生じることなどが分かった.飽和量吸着させた1,4シクロヘキサジエン単層膜への化学反応(塩素分子、1,3ブタジエン、1,3シクロヘキサジエンなど)を、常温・超高真空下で行なったが、現在のところ明らかな付加反応は観測されなかった.今後反応条件を探索することが必要である. 本年度の備品費で導入した高分解能電子分光器を実験室的X線源(AlKα,Mg Kα)やHe放電管を用いて,電子分光器の性能チェックと実験条件の最適化を行った.この装置を超高真空チェンバーに取り付け,高エネ研PFに持ち込みデータの収集を行なった.測定した系は,Si(100)c(4x2)清浄表面および吸着面(エチレン,CO,CO_2,BF_3)の高分解能内殻光電子分光を測定し,データを解析中である.エチレンではC_2H_4とC_2D_4を用いることにより,C1Sピークのブロードニングの原因が分子振動に因るものであることを解明した.
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