1.測定および結果、解析等 熱測定に関しては今年度行なった主な測定としてド・フリース型に属するとの提案がなされているいくつかの液晶のスメクティックA-C相転移についての測定が挙げられる。交流法と非断熱走査法を併用することにより測定を行なった。まず交流法による測定からは、転移に伴って顕著な熱異常が存在し、転移点の上下でそれがほぼ対称的という特異な形状を示すという事実を初めて明らかにすることができた。この特徴はド・フリース型であるという主張の妥当性に関して有力な情報を与えると考えられる。また非断熱走査法による測定からは、相転移が弱い一次転移であることが明らかになった。加えて、交流法によって得られた熱容量の異常部分を解析した結果、ほぼ三重臨界的挙動を示していることが明らかになった。より詳細な解析がさらに進行中である。測定を行なった試料の中には極めて微少量しか試料が準備されないものもあったが、本研究で用いている微少試料での高精度測定が可能な熱量計の特長を十分活かすことができた。一方、誘電測定については測定装置が完成し、試験的な測定を開始した。 2.成果の発表 上に挙げたうち、熱測定の結果については、日本物理学会、液晶学会討論会等において成果発表を行なうと共に、国内外の研究者と情報交換を行なった。特に、ドイツ、デンマークの研究者を訪問し、講演発表および議論を行なって多くの収穫が得られた。また、昨年度得られた結果の一部は今年度に出版され、今年度得られた成果もすでに掲載が決定し出版予定である。
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