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2002 年度 実績報告書

近接場振動スペクトロスコピーの開発と光ナノ加工技術への応用

研究課題

研究課題/領域番号 12131208
研究機関大阪大学

研究代表者

井上 康志  大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教授 (60294047)

キーワード近接場振動分光 / 近接場光学 / ラマン分光 / 電場増強 / DNA / カーボンナノチューブ / 密度汎関数法 / ナノテクノロジー
研究概要

金属チップ先端での局所増強場を用いて単一の単層カーボンナノチューブのラマンスペクトルを近接場測定した。金属チップを近接させることで、グラフェンシートでは単一のピークであるグラファイトの振動モード(Gモード)が増強されかつ2つのピークに分離することを確認した。さらに、低波数側に観察されるリングブリージングモードのストークスピークを測定し、それから推定されるカーボンナノチューブの直径と共鳴ラマン状況下で観察したことから、カーボンナノチューブのエネルギーバンド構造の直径に対する依存性から、そのカイラルベクトルを見積もることができた。
また、DNA塩基分子の1つであるアデニン分子のナノ結晶の近接場ラマンスペクトルを測定することに成功した。とくに、近接場ラマンスペクトルで観察された739cm^<-1>ラマンピークは、金属探針を用いず測定したラマンスペクトルのピーク位置(724cm^<-1>)からシフトして観察されている。これはアデニン分子がプローブ先端の金属と化学的に吸着することで、分子と金属間での電荷移動が可能となり、その電荷移動が入射光と共鳴することで生じる共鳴ラマン効果によるものと考えられる。さらに、密度汎関数法を用いて、アデニン分子の振動解析を行い、各ピークを振動モードに帰属することができた。他のDNA塩基分子についても振動解析を行った結果、分子の骨格振動によるスペクトルを測定することで、各塩基分子を特定できることを明らかにした。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] N.Hayazawa: "Near-field Raman Scattering Enhanced by a Metallized Tip"J. Appl. Phys.. 92. 6983-6986 (2002)

  • [文献書誌] N.Hayazawa: "Near-field Raman imaging of organic molecules by an apertureless metallic probe scanning optical microscope"J. Chem. Phys.. 117. 1296-1301 (2002)

  • [文献書誌] A.Tarun: "Apertureless optical near field fabrication using atomic force microscope on photoresists"Appl. Phys. Lett.. 80. 3400-3402 (2002)

  • [文献書誌] 井上康志: "金属プローブ先端での局所増強電場による近接場ラマン分光・イメージング"分光研究. 51. 276-285 (2002)

  • [文献書誌] 井上康志: "近接場光学と微細加工への応用"光学. 31. 724-731 (2002)

  • [文献書誌] 河田 聡: "近接場と非線形のナノフォトニクス"応用物理. 71. 653-663 (2002)

  • [文献書誌] S.Kawata: ""Near-field Vibrational Spectroscopy" in Handbook of Vibrational Spectroscopy Volume 2"John Wiley & Sons, Ltd.. 10 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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