(1)繊毛電極分布型静電マイクロアクチュエータの駆動評価 試作した繊毛電極分布型静電マイクロアクチュエータの動作評価を行った。評価用測定方法および専用の測定ユニットを開発した。電極間距離、印加(駆動電圧)、駆動周波数に対する移動速度、1サイクル当たりの移動距離、発生力を測定した。電極間距離は繊毛がほとんど変形を受けない190μmの時に、移動速度、1サイクル当たりの移動距離、発生力共に最大を示した。速度の最大は駆動電圧150V、駆動周波数100Hz付近で500μm/秒強であった。1サイクル当たりの移動距離は、駆動周波数が大きいほど高い値を示し、20Hzを越えると急激に低下した。可動電極基板が上下に運動する機構なので、電極基板の上下運動による空気の粘性抵抗、ならびに繊毛電極の高さ不均一性による共振周波数の低下が原因と考えられる。発生力は駆動周波数の依存性はなかった。発生力も駆動電圧に依存して大きくなった、駆動電圧150Vのとき発生力46mgf(0.45mN)であった。 (2)繊毛電極分布型静電マイクロアクチュエータによる光導波路(光ファイバー)の駆動 繊毛電極分布型静電マイクロアクチュエータの機構において、可動電極基板を円柱状の光ファイバーに置き換えて駆動できるか否か検討した。直径250μmのプラスチック光ファイバーにAl電極コート、絶縁コートを施すプロセスを開発した。駆動できる方向は、繊毛方向と光ファイバー長手方向が平行である場合に限られた。光ファイバーが変形し易いため安定な駆動は難しかったが、駆動できることを確認した。これにより本アクチュエータ機構を光プローブを走査するための駆動機構として基本的に使用可能であることが確認できた。今後の課題は周波数特性の改善、光導波路の安定駆動のための駆動機構の改良である。
|