研究概要 |
微小領域での光化学反応について研究をすすめた。共焦点顕微鏡あるいは近接場光学顕微鏡により、有機固体内部あるいは固体表面の微小領域において光反応を誘起し、その結果生じる蛍光特性の変化を位置選択的に検出し、光メモリへの応用を検討した。 蛍光特性が光反応により可逆に変化するチオインジゴを主鎖に含むポリエステルを合成し、3次元光メモリの記録媒体とした。光反応には共焦点顕微鏡からの568nm光を用い、蛍光性のトランス体を無蛍光性のシス体へ変換して、その蛍光強度変化を同じく共焦点顕微鏡を用いて読み出した。スポットサイズは、幅300nmで、深さ方向は3μmの間隔で書き込むことが出来た。この記録は、しかし、長時間置くと消失する欠点を有している。次年度には、この欠点をもたない材料開発をすすめる。 近接場光光学顕微鏡を用いたwrite-once光メモリについても検討をすすめた。光酸発生剤,増感剤,およびpHインジケータとしてそれぞれジフェニルヨードニウムヘキサフルオロリン酸(Ph2IPF6),アクリジンイエローおよびSeminaphthofluorescein(SNAFL)を用い、それらをポリビニルアルコール中に分散し,光メモリ媒体とした。Ar+レーザーの488nm光を書き込み光源に,514.5nm光を読み出し光源とした。それぞれの光を近接場光学顕微鏡に導入し,書き込み、蛍光読み出しを行った。488nm光照射に伴い,蛍光強度の増加がみられた。この系では514.5nm読み出し光による光メモリ媒体の劣化は認められなかった。
|