研究概要 |
本研究の目的は,企業内,生産工場内,そして家庭内でのインターネット利用に関して,安全な運用を実施する枠組を総称してエンタープライズセキュリティとして,本セキュリティを普及するためのシステム基盤ソフトウエアを研究・開発することである.この目的のもと,本プロジェクトでは平成14年度において,認証系,侵入検知,情報家電セキュリティ,環境内セキュリティなど様々なセキュリティ領域における基盤ソフトウエアの研究を邁進している.特に,昨年度の成果であるグラフィカルパスワードの技術は,携帯電話ビジネスにおける認証システムとして適用されるなど,研究成果を実世界のシステムとして導入が行われている.これは,本研究の目的である,企業や家庭内でのインターネット利用に関して,安全な運用を実施したことに成功した一例といえる.本認証システムを導入したビジネスは,携帯電話を用いた皮膚診断などの個人認証に用いられた,本研究に関し,平成14年7月にスコットランドのグラスコーで開催された"SUN HPC Glasgow Meeting & GGF5"において,本研究代表者が招待講演を行った他,雑誌や新聞記事としても掲載された. また,図書館などの公共施設における安全な24時間サービスを実現するために,様々なセンサ系やカメラロボット群を用いたスマートセキュリティシステムを実装した.本システムは,我々の持つマルチエージェント技術を中核としたものであり,各機器が互いに協調することで,環境内の利用者の状態をリアルタイムに把握する能力を有する.本システムは実際に東京理科大学の野田図書館に実装されており,利用者は深夜においても安全に施設を利用することができる.本研究の成果の一部は,平成14年9月に東京工業大学で開催されたFIT(Forum on Information Technology)の「情報系大型研究プロジェクト一挙紹介」のブースにてデモンストレーションを行った.その他,免疫系に基づく侵入検知システムの研究や,スマートオフィスのためのアクセスコントロールの研究に関しては,平成14年11月に慶應義塾大学で開催された"International Symposium on Software Security"において発表を行っている
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